厚生労働省は2024年の1年間の出生数が初めて70万人を割り込む公算が大きくなったと発表した。価値観の多様化で未婚・晩婚傾向が進んだことに加えて、新型コロナウイルス禍で結婚や出産を控える人が増えたとみられている。将来、さらなる人口減で働き手や消費者の減少によって、企業では人手不足が進み、自治体では住民サービスを維持できなくなるとともに、国レベルでは医療や年金などの社会保障制度の維持も困難視される。政府は「次元の異なる少子化対策」を推進するとしている。
政府・与党は年収が103万円超となると所得税が発生する「103万円の壁」を見直す方向で調整に入り、月内にまとめる経済対策に盛り込む方針を固めた。「103万円の壁」撤廃については国民民主党が衆院選公約で訴えたもので、同党は非課税枠を178万円にするよう求めている。政府の試算によると、非課税枠の引上げによって、国と地方の1年間の税収は約7兆6千億円減ることになる。政府・与党は物価上昇率に基づく引き上げ幅を算出する案や対象世帯を絞る案も検討していくとしている。
会計検査院は2023年度の決算検査報告書をまとめた。税金の無駄遣いで指摘した事業は345件で、金額は約648億円に上った。件数、金額ともに、昨年を上回っている。これらのうち、法令違反などの「不当事項」は294件に及んでいる。1件当たりの指摘金額が最大だったのは、農林水産省の約218億円で、農家などが債務不履行になった場合に融資元に代位弁済する同省所管事業で、資金の約6割が使用される見込みがないとされている。
2023年の65歳以上の労働者は人手不足を背景に、過去最多の914万人となり、20年前と比べほぼ倍増していることが分かった。これに伴い、高齢者の労災事故も急増しており、昨年、死傷した60歳以上の人は3万9702人となり、8年連続で最多を更新してきている。転倒事故が4割を占め、濡れた床で足を滑らしたり、段差でつまずいたりなど、加齢による身体機能や筋力の低下が要因と見られている。このため厚労省は高齢者の労災を防ぐうえで、企業に高齢者の労災対策を努力義務として課す方針である。
2024ユーキャン新語・流行語大賞のノミネート30語が選出された。30語には大谷選手が大リーグで達成した「50-50」、政治情勢を表した「裏金問題」、今年7月に20年ぶりに新しくなった「新紙幣」がノミネートされた。主催した自由国民社では「オリンピック、大谷選手の活躍、ダンス動画関連のヒットなど、話題は数多く見られたものの、流行語としては小粒揃いと思われる」と分析。12月2日にトップテンが発表される。
味の素が一人暮らしている15~59歳の男女を対象にしたアンケート調査で、「スマホを見ながら一人で食事する人」は10~20代で77.5%となり、8割近くを占めていることが分かった。その理由を尋ねたところ(複数回答)、「食事中の時間を有効活用したい」が最多の34.1%で、「食事中に退屈しないため」(27.7%)、「一人の食事がさみしいため」(26.4%)、「スマホをいじることが習慣化してしまっている」(21.9%)が続いた。
帝国データバンクの調べによると、2024年1~10月の学習塾の倒産(負債1千万円以上)は32件となり、このままの推移だと過去最多だった2019年の39件とほぼ同水準になる見通しにある。少子化による生徒数の大幅な減少に加え、大手との競争から学習塾の倒産は増加傾向にある。また、中堅クラスの学習塾ではコロナ感染防止対策や酷暑対策からエアコンなどの設備投資のための借入金が膨らみ、倒産リスクが拡がってきている。こうした状況の中、法的整理の前に学習塾事業を他社に売却する動きもみられ、業界再編が加速するとみられている。
厚生労働省の発表によると、インフルエンザが全国的な流行シーズンに入ったことが分かった。11月3日までの1週間に全国約5千の定点医療機関から報告されたインフルエンザ患者数は1機関当たり1.04人となり、流行入りの目安となる「1人」を上回った。患者数を都道府県別にみると、沖縄(10.64人)が最多で、静岡(2.09人)、千葉(2.0人)が続いた。同省ではインフルエンザの流行入りを受けて、「手洗いやマスク着用、ワクチンの予防接種を受けるよう」にと呼び掛けている。