社会・経済の動き@しんぶん.yomu第1078号

2024年世界成長率、上方修正の3.2%  

国際通貨基金(IMF)が公表した2024年の世界全体の実質成長率は3.2%とする見通しであることが分かった。今年1月時点から0.1ポイント上方修正した背景には、米国の底堅い経済動向やインドなどの新興国の成長を挙げた。IMFでは「世界経済は依然として堅調」と指摘しながらも、下振れリスクとして「イスラエルとイスラム組織ハマスの戦闘、ロシアによるウクライナ侵攻に伴う輸送費用やエネルギー価格の上昇」を挙げている。

貿易収支、3年連続赤字も赤字幅は縮小  

財務省は2023年度貿易統計で貿易収支は5兆8919億円の赤字だったと発表した。年度ベースで3年連続の赤字となった。しかし、輸出は自動車の伸びが堅調なことを背景に1979年以降で過去最大の102兆8983億円となったことに加え、資源高の緩和もあり、赤字幅は前年度の22兆579億円から大幅に縮減している。先行きについては中東情勢の緊迫化によって原油価格が上昇する懸念があることに加え、外国為替市場での進む円安の中で輸入額が膨らみかねないこともあり、貿易赤字が拡大しかねないとの懸念が根強い。

30年間で744自治体が消滅可能性  

民間組織「人口戦略会議」がまとめた報告書によると、2020~50年の30年間で、子ども産む中心世代の20~39歳の女性が半数以下となる自治体は「消滅可能性」があるとしたうえで、744自治体が該当すると指摘した。同会議では「外国人住民の増加で、少子化自体には歯止めがかかっていない」とみている。2014年に民間組織「日本創生会議」が報告書で896自治体が減少すると公表していたが、今回の人口戦略会議は152自治体少ない全体の40%超の744自治体が消滅するとしている。

全国消費者物価指数、3年連続の上昇  

総務省は2023年度平均の全国消費者物価指数は前年度比2.8%上昇の105.9となったと発表した。3年連続の上昇で、原材料価格の高騰を受け、食料品や日用品の値上げが響いたことが挙げられている。生鮮食品とエネルギーを除いた消費者物価指数は3.9%上昇し、1981年度の4.0%上昇以来、42年ぶりの大きな伸びとなった。3月の生鮮食品を除く全国の消費者物価指数は前年同月比2.6%上昇の106.8となり、伸び率は2月の2.8%から2か月ぶりに縮小している。

3月訪日外国人、史上初の300万人超え  

日本政府観光局の発表によると、2024年3月の訪日外国人は308万1600人に上ることが明らかになった。単月としては、300万人を突破したのは史上初となる。 前年同月比約1.7倍となったが、背景には春の桜シーズンによる訪日需要の高まりに加え、今年はイースター休暇が3月下旬から始まったことから、訪日需要を押し上げたとみられる。国・地域別にみると、韓国の約67万人がトップで、台湾(約48万人)、中国(約45万人)、米国(約29万人)が続いた。

温室効果ガス排出は過去最少に  

環境省は2022年度に国内で排出された温室効果ガス量は前年度比2.5%減少し、過去最少となったと発表した。2022年度に排出された二酸化炭素などの温室効果ガスの量は約11億3500万トンとなり、排出量の算定を始めた1990年度以降で最も少ない量となっている。政府は国内での温室効果ガス排出量を2030年度に2013年度比43%削減する目標を掲げているが、2022年度時点での削減は22.9%にとどまっている。

首都圏マンションの平均価格、最高値  

不動産経済研究所は2023年度の首都圏(1都3県)の新築マンション1戸当たりの平均価格は過去最高値の7566万円になったと発表した。前年度比9.5%の上昇で、3年連続で過去最高を更新した。また、東京23区だけでみると、5.7%上昇の1億464万円となり、初めて1億円を突破した。首都圏では東京都心などで高級物件の売り出しが相次いだことや工事費の上昇を背景に価格を押し上げた。全国的に地価が上昇傾向にあり、地方都市でもマンション価格の値上りが及んできている。

1日ネット利用時間、高校生は6時間超  

こども家庭調査庁の2023年度調査によると、1日当たりのインターネット利用時間(平日)は高校生が6時間14分、中学生が4時間42分、小学生(10歳以上)が3時間46分に及ぶことが分かった。インターネット利用の目的はほぼ全ての年齢で動画視聴が90%超と最多で、音楽、ゲーム、検索も上位を占めている。10歳以上の児童・生徒の保護者でスマホの利用を制限していると答えたのは83.4%で、具体的には不適切サイトへの接続を防ぐ「フィルタリング」(44.2%)が最多だった。

社会・経済の動き@しんぶん.yomu第1077号

総人口、13年連続マイナスの1億2千万人  

総務省は2023年10月末時点での人口推計で外国人を含む総人口は1億2435万2千人だったと発表した。13年連続のマイナスで、日本人は83万7千人減の1億2119万3千人だった。年齢別にみると、後期高齢者となる75歳以上は71万3千人増の2007万8千人となり、初めて2千万人を超えた。一方、0~14歳は32万9千人減の1417万3千人で、全体に占める割合も11.4%となり、過去最低を更新した。

では

2050年、一人暮らしの単独世帯は45%  

国立社会保障・人口問題研究所は2050年に全世帯に占める一人暮らしの単独世帯の割合は2020年の38.0%を上回る44.3%になるとの将来推計を発表した。同研究所は5年に1度「日本の世帯数の将来推計」を取りまとめており、2020年の国勢調査を基に2020年~50年の世帯数を推計している。世帯数は2020年の5570世帯から2050年には5773万世帯に増え、このうち単独世帯は2030年に37.9%、2040年に39.3%と次第に増えていくと推計している。

日銀調査、94%の人が物価「上がった」  

日銀の3月生活意識アンケート調査によると、現在の物価が1年前と比べ「上がった」と答えた人は94.4%に上ることが明らかになった。過去最高を記録した前回調査の2023年12月時点の95.5%に迫る水準となっている。物価見通しについて、「1年後に上がる」とみている人は前回調査より4.0ポイント増の83.3%に上っている。今後、食料品や日用品の値上がりが続けば、高い賃金上昇を政労が目指す今春闘にも冷や水を浴びせかねないが、1年後に収入が増えるとの回答は過去最高の12.3%だった。

2月の実質賃金、最長の23ヵ月連続減少  

厚生労働省は今年2月の実質賃金は前年同月比1.3%減となったと発表した。23カ月連続での減少で、1991年以降、リーマンショックなどを背景に、長く連続減少した時に並び、過去最長となっている。一方、1人当たりの現金給与の総額は28万2265円となり、26カ月連続での上昇となっている。また、冬のボーナスは1人当たりの平均額が前年比0.7%増の39万5647円だった。

2023年度、企業物価指数は過去最高  

日銀は2023年度の企業物価指数(2020年=100)は119.9となったと発表した。2年連続で過去最高を更新した背景には、エネルギーや原材料費の高騰に伴い、価格転嫁の動きが強まったことが挙げられている。円安で海外から輸入するモノの価格は、原油価格の大きな下落から円ベースで7.2%下落した。日銀では「輸入物価がマイナスとなる中、製造業に近い産業で下落したものの、小売業に近い産業はコスト上昇分の転嫁が続いた」とみている。

社長の平均年齢、33年連続で上昇  

帝国データバンクの調査によると、2023年の全国の社長平均年齢は60.5歳であることが分かった。前年比0.1歳上昇しており、1990年から33年連続の上昇となっている。社長の年代別構成比をみると、「50歳以上」が81.0%となった一方、「40歳未満」(3.1%)、「30歳未満」(0.2%)と若手社長の割合は依然低い水準にとどまっていた。また、2023年の全国の後継者不在率は過去最低の53.9%で、改善傾向がみられている。

日本の若者、自国将来「良くなる」は15%  

公益財団法人日本財団が日本や米国など6カ国の17~19歳の若者を対象にした調査で、日本の若者は自分の国が「良くなる」と答えた割合が15%にとどまることが明らかになった。比較した6カ国中で最下位だった。自分の国が「良くなる」と答えた割合は、中国が最も高い85%で、インド(約80%)、韓国(約40%)、米国・英国(約25%前後)が続いた。日本の若者の回答では「どうなるか分からない」が最も多い31.5%で、「悪くなる」(29.6%)、「変わらない」(23.6%)だった。

2022年、相続放棄は過去最多の26万件  

司法統計によると、2022年に不動産や借金などどちらの遺産も受け継がない「相続放棄」は過去最多の26万497件に上ることが分かった。民法では、人(被相続人)が死亡した場合、配偶者や子らがプラス・マイナスの遺産を相続するものと定めているが、これを回避するために相続放棄を家庭裁判所に申し立てることができる。司法統計によると、2020年が約22万5千件、2021年が約25万2千件と、年を追うごとに増え、放置された家屋や土地への対応が社会問題化しつつある。

社会・経済の動き@しんぶん.yomu第1076号

春闘での賃上げ率、中小も5%に近づく  

連合が発表した2024年春闘の中間回答集計によると、基本給を底上げするベースアップと定期昇給を合わせた賃上げ率(加重平均)は5.24%となることが分かった。組合員数1000人以上の大手の賃上げ率は5.28%で、組合員数が300人未満の中小は4.69%だった。連合では「中小事業者にとっては人材不足の問題が非常に大きく、人材流失に歯止めをかけるためにも賃上げが必要との認識があるのではないか」とみている。

成長率1%超で医療等の社会保障が安定  

内閣府の2060年度までを見据えた社会保障と財政に関する長期試算によると、名目GDP(国内総生産)に対する医療・介護給付費の割合を安定・縮小させるには、実質GDP成長率が平均1%を上回る必要があるとした。試算の前提として、生産性の向上や出生率の上昇、適正な給付と負担の実現に向けた改革の実行への取り組みを挙げた。試算によると、対GDPでの医療・介護給付費の割合について、2025~60年度の実質成長率が1.7%の場合、2040年度以降に縮小に向かうとしている。

電子ごみ、過去最高の6200万トン  

国際電気通信連合(ITU)の発表によると、2022年に洗濯機やパソコンといった電気・電子機器が廃棄されて生ずる「電子ごみ」は6200万トンに上ることが明らかになった。このうち適切にリサイクルされたのは2割にとどまる。電子ごみは2010年以降、リサイクル量よりも約5倍の速度で増加失続け、ITUでは2030年には8200万トンに膨らむとみている。2022年の電子ごみで最も多かったのは電子レンジなど小型家電の2040万トンだった。また、2022年の電子ごみに含まれた銅や金などの価値は約13兆8千億円と推定している。

成長する都市、東京が世界2位に  

英不動産会社「サルビス」は2023年版「危機を乗り越え成長する都市ランキング」で、日本の首都・東京は世界2位だったと発表した。東京は前回の2021年版では5位だったが、経済の底堅さや不動産投資の減少が小幅にとどまったことが評価され、順位を上げた。首位はニューヨークで、3位には前回2位のロンドンが選ばれた。都市ランキングは490都市が対象で、各都市を「経済力」「知識と技術」「ESG(環境・社会・企業統治)」「不動産」の4分野で分析し、ランキングしている。

75歳以上の保険料、全国平均7082円  

厚生労働省が発表した75歳以上の約2千万人が加入する後期高齢者医療制度の2024-25年度の保険料見込み額によると、1人当たりの全国平均月額は2024年度が7082円、2025年度が7192円となることが明らかになった。後期高齢者医療制度の保険料は均等割額と所得割を合算して算出されており、都道府県別にみると、2024年度は東京が最も高い9180円で、秋田が最も低い4397円となっている。

地域おこし隊、過去最多の7200人  

総務省は都市から過疎地域に移住し、街づくりに取り組む「地域おこし隊」の2023年度の隊員数は過去最多の7200人に上ると発表した。受け入れ自治体も48増え、1164団体となり、最多を更新した。隊員数の増加の背景には、地方移住への関心が高まっていることが挙げられている。都道府県別の隊員数を見ると、北海道の1084人が最多で、長野(461人)、福島(313人)が続いている。また、隊員数は男性6割、女性が4割で、年代別にみると、3人に2人が20~30代だった。

GW、海外旅行は7割増の52万人  

JTBの調査によると、今年のゴールデンウィーク(GW)に海外旅行に出掛ける人は昨年の31万人から7割近く増えて52万人になるとの予測を発表した。海外旅行での1人当たりの平均費用は円安や物価高の影響もあり、過去最高の26万9000円になる見通しである。また、新型コロナウイルスが令和5年5月8日から「5類感染症」に移行して初めてとなる今年のGWには1泊以上の旅行に出掛ける人は昨年とほぼ同じ約2300万人になるとの見通しを示している。

ラーメン店の倒産、前年度の2.7倍に  

東京商工リサーチは2023年度(4~3月)のラーメン店の倒産は前年度から2.7倍増の63件だったと発表した。倒産原因では、「販売不振」が最多の52件で、「既往のシワ寄せ(赤字累積)」の4件と合わせた「不況型倒産」が56件となり、約9割を占めている。ラーメン店は初期の設備投資が少なく抑えられるものの、競合が激しいことに加え、円安から原材料価格の高騰や光熱費の上昇、さらに人手不足の状況に晒されている。

社会・経済の動き@しんぶん.yomu第1075号

総額112兆円の2024年度予算が成立  

3月28日、参議院本会議で一般会計総額112兆円の2024年度予算が可決・成立した。歳出総額が112兆5717億円となり、2年連続で110兆円を超え、過去2番目の規模となる。全体の3分の1を占める医療や年金に当てられる社会保障関係費は37兆7193億円、防衛費は5年以内に抜本的強化を目指す中、1兆1292億円増の7兆9172億円となり、いずれも過去最大となった。また、2024年元旦に発災した能登半島地震の復興支援で予備費を1兆円に倍増した。

円下落、約34年ぶりの円安水準に  

3月27日の東京外国為替市場で円相場が一時1ドル=151円97銭となり、1990年7月以来、約34年ぶりの円安水準となった。日銀が政策金利を17年ぶりに引き上げたものの、当面、日米の金利差は縮小しないとの思惑から円売りドル買いが進んだ。円安傾向で一段の物価高も懸念されている。円安が進んだことで、東京株式市場では輸出関連銘柄が買われ、日経平均株価は4万円台をキープした。また、金融緩和長期化するとの見方から国債市場では国債が買われ、利回りは下落した。

公示地価、全国平均2.3%上昇  

国土交通省が発表した公示地価(2024年1月1日時点)は全用途の全国平均は前年比2.3%上昇したことが分かった。バブル崩壊で影響のあった1992年以降で上昇幅は最大となった。上昇は3年連続で、同省では「コロナ禍前の水準に戻った」とみている。内訳をみると、住宅地の上昇率は昨年の1.4%から2.0%となり、1992年以降で最大の上昇幅となった。商業地は昨年の1.8%から3.1%と大幅上昇した。都市部での店舗需要の回復傾向や観光地や繁華街で上昇したことが背景にある。

日銀の利上げ、利払い費増で国債費膨張  

3月19日、日銀は金融政策決定会合でマイナス金利政策の解除を決定したが、今後、国の借金である国債の利払いが膨らみ、過去最大となる国債費が増大し続け、社会保障費など国民生活に欠かせない経費が圧迫される状況にある。財務省の試算によると、2027年度には利払い費が15兆3千億円に膨らみ、2024年度予算案に比べ、5兆6千億円増える見通しで、国債費は34兆2千億円に達する。鈴木財務大臣は金利上昇で「政策的経費が圧迫される恐れがある」と指摘している。

4月の食品値上げ、前年同月比約5割減  

帝国データバンクの発表によると、4月の食品値上げ数は2806品目になることが分かった。前年同月比48.1%減で、4ヵ月連続で減少しており、原材料価格が安定的に推移しているとみられている。4月の値上げ理由に賃上げによる人件費の増加や残業規制が強化される2024年問題による物流コストの上昇を挙げる企業が出てきたと同社は指摘している。同社の集計で7月までの値上げは6433品目だが、値上げラッシュとなった2023年を大きく下回る見通しにある。

キャッシュレス決済額、過去最高126兆円  

経済産業省の発表によると、2023年のクレジットカードや電子マネーなどのキャッシュレス決済額は前年比約15兆円増加の126兆7000億円に達したことが分かった。過去最高額を更新し、なかでもクレジットカード決済額は前年比約10兆円増加し、初めて100兆円を突破した。キャッシュレス決済の比率は前年比3.3ポイント上昇の過去最高の39.3%となり、政府が目標として掲げる2025年6月までに4割程度に近づいている。

全国の小中学生「不登校」、最多30万人  

文部科学省の調査で、2022年度に全国の小・中学校から報告のあった不登校の児童生徒数は29万9048人に上ることが分かった。前年度から5万4108人増え、10年連続での増加。内訳は小学生が10万5112人、中学生が19万3936人で、このうち4割が学校内外で相談や指導は受けていなかった。急増している要因として、コロナ禍で児童生徒の生活リズムが崩れやすい状況に加え、保護者の不登校への理解が広がり無理に学校に行かせなくてもいいと考える向きが増えたが挙げられている。

教育歴ごとの死亡率、中卒者が高く  

国立がん研究センターが発表した日本人の教育歴ごとの死亡率推計によると、大学以上卒業者に比べ、中学卒業者は、男性が1.36倍、女性が1.46倍高いことが分かった。背景には、喫煙率の高さやがん検診受診率の低さが影響した可能性があると同センターでは指摘している。死因別では、ほとんどの死因で教育歴が短い群が高かった。とくに、脳血管疾患、肺がん、虚血性心疾患、胃がんで死亡率の差が大きかった。一方、女性の乳がんの死亡率は、大卒以上卒業者の方が高かった。

社会・経済の動き@しんぶん.yomu第1074号

日銀、17年ぶりに利上げを決定  

3月19日の日銀金融政策決定会合で大規模な金融緩和策の柱となるマイナス金利政策の解除を決定した。長期金利を低く抑える長短金利操作も撤廃し、3月21日から政策金利を0~0.1%とするとともに、上場投資信託(ETF)の新規買い入れも終了する一方、金利の急上昇を防ぐために長期国債の買い入れは続けるとした。金融政策決定会合では賃金と物価が揃って上がる好循環が強まったと判断し、今回の金融政策へ転換した。

エンゲル係数、40年ぶりの高水準  

総務省の家計調査によると、2023年のエンゲル係数は27.8%に達し、1983年以来40年ぶりの高水準にあることが分かった。最も低かった2005年の22.9%に比べ、4.9ポイントも上昇していた。エンゲル係数は家計の消費支出に占める食費の割合を示すもので、食料への支出割合が高くなっており、家計にゆとりがないことを如実に示している。内閣府が昨年行なった食品購入時の意識調査でも、値上げにより安価な食品に切り替えた人が59.5%に上り、生活防衛意識の高まりを見せていた。

今春闘、パートの平均賃上げ率6.45%  

連合傘下で最大の産業別労働組合「UAゼンセン」の今春闘妥結した平均賃上げ率は正社員で5.91%、パートタイムで6.45%となり、いずれも過去最高を記録したことが明らかになった。平均賃上げ率は正社員が月給ベース、パートが時給ベースで、パートの賃上げ率が正社員を上回るのは2017年春闘から8年連続となる。UAゼンセンでは、「正社員とパートの格差を是正するような賃上げだ」と評価するとともに、「今年は首都圏と地方の格差も昨年よりも小さくなっている」とみている。

個人金融資産、過去最高の2141兆円  

日銀の2023年10~12月期の資金循環統計によると、12月末時点での個人が保有する金融資産は過去最高の2141兆円に上ることが分かった。前年同月比5.1%増となり、5四半期連続で過去最高を更新した。個人資産の内訳をみると、現金・預金が1.0%増の1127兆円、株価上昇の流れを受けて投資信託が22.4%増の106兆円、株式等が29.2%増の276兆円、保険は0.7%増の381兆円となっている。企業業績が好調なことから株価が上昇していることが背景にある。

2020年の買い物弱者、全国で904万人  

農林水産省の推計によると、スーパーやコンビニがちかくになく、自動車も使えないことから買い物が困難な「買い物弱者」(65歳以上)が2020年時点で全国に904万3千人になると発表した。65歳以上の人口の25.6%に達している。都市部でも飲食料品店の減少や大型商業施設の郊外化などから買い物を不便感じるケースが増えている。都道府県別にみると、買い物弱者の割合が高かったのは離島の多い長崎の41.0%で、青森(37.1%)、秋田(33.8%)が続いた。

内閣府調査で6割が「経済的ゆとりない」  

内閣府が18歳以上を対象にした「社会意識に関する世論調査」で63.2%が「経済的ゆとりと見通しが持てない」と答えていることが分かった。現在、社会で満足していない点を聞く調査だが、「経済的ゆとりと見通しが持てない」との回答は調査開始の2008年以降で最も高かった。日本の状況で悪い方向に向かっている分野を尋ねたところ(複数回答)、「物価」が最多の69.4%で、「国の財政」(58.4%)、「景気」(58.1%)が続いた。

7割超が「61歳以上も働きたい」  

内閣府の生活設計と年金に関する世論調査で、「何歳まで仕事をしたいか」を尋ねたところ、「61歳以上」と答えた人が71.1%に上ることが分かった。内訳では、「61~65歳」が最も多い28.5%で、「66~70歳」(21.5%)、「71~75歳」(11.4%)が続いた。それぞれの年齢まで働きたい理由を尋ねたところ、「生活の糧を得るため」が最多の75.2%だった。また、厚生年金を受給できる年齢なった時の働き方について、44.4%の人が「年金額が減らないように就業時間を調整しながら働く」と答えていた。

女性医師、初めて8万人を超える  

厚生労働省の発表によると、2022年12月末時点での女性医師は8万1139人となり、初めて8万人を超えたことが明らかになった。2022年の医師は34万3275人で、うち女性が23.6%を占めた。また、薬剤師も過去最多の19万9507人に上った。大学の医学部入試で女性受験生を不利に扱っていたことが明らかになった2018年以降、不公平な対応が改める動きが加速してきており、女性医師は今後さらに増加とするとみられている。

社会・経済の動き@しんぶん.yomu第1073号

北陸新幹線、整備計画から半世紀で開通  

2024年3月16日、北陸新幹線の金沢-敦賀間が延伸開業した。1973年に整備計画が決定されてから51年目となり、新幹線網が福井県に広がったことになる。これにより、東京-福井間の所要時間は最短で2時間51分となり、これまでの東海道新幹線と在来線特急を乗り継ぐことにより33分短縮となる。北陸新幹線の延伸開通は今年1月元旦に発災した能登半島地震からの復興の力強い後押し効果も期待されている。

大手・中小企業の賃金格差は最大3倍  

中小製造業が中心の産業別労働組合(産別)「JAM」が組合員数300人未満と千人以上の企業の月額所定賃金を比較集計したところ、大手企業の賃金から中小企業の賃金を差し引いた額が2000年から23年間で最大3倍に広がっていることが分かった。高卒後すぐに就職した30歳の場合、2000年では千人以上が23万8642円、300人未満は22万9335円で、その差は9307円だったが、2023年にはその差が2万9184円と3.1倍に広がっていた。

日本の兵器輸入、緊張高まりで155%増加に  

ストックホルム国際平和研究所(SIPRI)は2019~23年に世界で兵器の取引量に関する報告書で、日本は155%増加で、世界の輸入全体で4.1%を占め、兵器輸入国の第6位だったと発表した。SIPRIは、中国や北朝鮮との緊張の高まりから、日本が長距離攻撃能力の向上に力を入れていると輸入増の背景を分析している。また、ロシアのウクライナ侵攻から欧州の兵器輸入は2014~18年から倍増近い94%増となったとしている。

首都直下地震、1000兆円超の被害額  

土木学会が公表した報告書によると、今後30年以内に70%の発生確率とされている首都直下地震により、日本経済に1000兆円を超える被害が生じることが明らかになった。報告書は首都直下地震が発生した場合、政府による復興が行なわれなければ、建物が壊れるなどの資産被害が47兆円生じるほか、GDPの減少額は954兆円に上り、1000兆円を超えるとしている。学会では「事前にインフラ投資を行えば、被害額は減らせる」ことを、政府や国民に認識して欲しいと指摘している。

日本の「豊かさ」、前回から2つ下げ24位  

国連開発計画(UNDP)は平均寿命や教育、所得などの観点から各国の豊かさを測る「人間開発指数(HDI)」の2023~24年版報告書で、日本は193カ国・地域中、前回から順位を2ランク下げ、24位だったと発表した。HDIの首位はスイスで、ノルウェー、アイスランドが続いた。UNDPは「過去20年、豊かな国と貧しい国との不平等は着実に縮小してきたが、今回、この傾向が逆転し世界で格差が拡大している」と指摘した。

大卒就職内定率、2021年以降で最高値  

文部科学省などの調査によると、今春に大学を卒業する学生の就職内定率は2月1日時点で91.6%となることが分かった。この4年間で最高値となり、コロナ禍の2020年12月時点の69.8%とは雲泥の差がみられた。大学、短大、高等専門学校の全体でみても91.4%となった。同省では「人手不足で求人が増え、企業での採用意欲が高まっている。中小企業だけでなく、大企業でも求人が充足していないようで、早期に内定を獲得した学生もいる」と今年の就職戦線の実情を分析している。

2023年、自転車事故死は8年ぶり増に  

警察庁の統計によると、2023年に自転車に乗って事故死した人は前年比7人増の346人だった。8年ぶりに増加に転じ、事故死したとの約半数の174人は頭部損傷によるもので、そのうち9割がヘルメットを非着用だった。2023年4月から自転車利用者のヘルメット着用の努力義務が施行されているが、昨年7月の全国調査では着用率が13.5%にとどまっている。また、75歳以上のドライバーによる車やバイクの交通死亡事故は384件に上り、3年連続で増加していた。

7割近くが「腸の健康」に関心がある  

調査会社マイボイスコムが10~70代の男女を対象にした意識調査で、腸の健康について「関心がある」「まあ関心がある」と答えた人の割合は68.7%だったことが分かった。また、直近1年間の腸の不調を尋ねたところ、「時々感じる」(30.4%)、「よく感じる」(9.2%)と4割近くの人が腸の不調を感じていた。腸の健康のためにしていることを尋ねたところ(複数回答)、「規則正しい生活をする」「睡眠を十分に取る」「1日3食食べる」「乳酸菌やビフィズ菌入り食品・飲料を意識的に取る」がそれぞれ3割だった。

社会・経済の動き@しんぶん.yomu第1072号

東日本大震災、今なお避難者約3万人  

2011年3月11日、三陸沖を震源とする国内観測史上最大のマグチュード9.0を観測した東日本大震災から13年を迎えるが、復興庁の集計によると、今なお2万9328人が避難していることが明らかになった。とりわけ東京電力福島第一原発事故による今なお福島県7市町村で帰宅困難区域は約310平方キロに上り、県外への避難者は2万279人に達している。原発事故や津波による避難者は2011年3月のピーク時は約47万人に上っていた。

では

春闘要求賃上げ率は平均5.85%  

連合が今春闘で労働組合が要求した賃上げ率は中間集計で平均5.85%だったことが分かった。前年同期を大きく上回り、最終集計まで5%以上となれば、1994年以来30年ぶりの高水準の賃上げ要求となる。3102組合の平均賃上げ要求額は月1万7606円で前年同期より4268円増えている。今春闘では大手企業が早々に労組要求に対し満額回答をするなど大幅な賃上げが実現している。連合では中小企業での賃上げが必要だと強調しているが、財務基盤が脆弱な中小企業での賃上げが要求水準を満たすことができるかは不透明だ。

今後5年間で外国人労働者80万人受入れ  

政府は外国人労働者を中長期的に受け入れる特定技能制度で2024年度から5年間で最大約80万人を受け入れると試算していることが分かった。特定技能制度で、新たに、自動車運送業、鉄道、林業、木材産業の4分野を追加することに加え、すでにある製造業分野に繊維などの業務加えることで検討している。背景には、深刻な人手不足があり、外国人労働者の受け入れ拡大を図る狙いがある。政府は年度末の3月までに受入れ見込み数を更新し、対象分野の追加を決定する方針である。

生活保護申請件数、4年連続で増加  

厚生労働省の調査によると、2023年の生活保護申請件数は前年比7.6%増の25万5079件に上り、4年連続で増加していることが明らかになった。同省はコロナ禍や物価高騰の影響により貯蓄を取り崩す人が増えたことで、申請件数が増加したとみている。被保護者世帯は165万3778世代に上り、高齢者世帯が55.1%と半数維持用を占め、失業者を含む「その他の世帯」は15.8%だった。

2023年、日本産牛肉の輸出、過去最高  

東京税関が発表した2023年の貿易概況で、国内で生産された牛肉の生鮮・冷蔵肉の輸出数量は4219トン、金額で295億9200万円となり、数量・金額ともに過去最高となった。冷蔵牛肉の輸出は和食がユネスコ無形文化遺産に登録された2013年の415トン・25億8200万円から増え続け、冷凍牛肉も全国の港湾から船舶で輸出が伸びている。日本畜産物輸出促進協会は、欧米ではステーキが中心で、アジア圏ではすき焼きやしゃぶしゃぶなどの食べ方が普及しているという。

女性の「働きやすさ」、日本は27位  

英誌エコノミストが経済協力開発機構(OECD)加盟の38カ国のうち29カ国を対象に「女性の働きやすさ」を比較調査したところ、日本は27位だったことが分かった。日本は昨年から1つ順位を下げている。調査項目別にみると、女性管理職の割合で日本はOECD平均の34.2%を大きく下回る14.6%だった。また、日本の女性役員の割合もOECD平均の33%を下回る18%だった。日本の性別の平均賃金でも女性は男性の21.3%少なく、下から3番目だった。

生成AI活用「知らない」日本企業は3割  

電子情報技術産業協会(JEITA)が正社員300人以上の全業種を対象に日米企業それぞれ300社の経営幹部・マネジャーを対象にDXやデジタル経営の取り組み状況を調査したところ、米国企業は53.9%が「行なっている」のに対し、日本企業は26.4%にとどまっていることが分かった。また、生成AIの想定用途に関し、「知らない」と答えた米国企業は1%前後だったのに対し、日本企業は3割を超えていた。日本企業のデジタルトランスフォーメーション(DX)の遅れが際立った。

医学科入学者、女性が初めて4割超に  

文部科学省の調査によると、2023年度に医学部医学科に入学した9198人のうち、女性が3696人(40.2%)となり、初めて4割を超えた。女性の割合は4半世紀ほど3割台で推移してきて「4割の壁」と言われていた。20018年の医学部入試不正問題を契機に、不当な差別が是正されたことが背景にあるとみられている。国立では滋賀医科大など5大学、私立でも順天堂大など男女共学の6大学で、女性の割合が5割を超えている。

社会・経済の動き@しんぶん.yomu第1071号

2023年出生数、過去最少の75万人  

厚生労働省は人口動態統計の速報値で2023年に生まれた出生数は75万8631人だったと発表した。過去最少を更新しており、初めて80万人を割り込んだ2022年から5.1%減となり、少子化が一段と進む結果となっている。国立社会保障・人口問題研究所の将来推計人口で出生数が76万人を割り込むのは2035年と見込んでいたが、12年も早まった形となっている。一方、死亡数は過去最多の159万503人となり、出生数は差し引いた自然減は83万1872人で、最大の減少幅となった。

上場企業の純利益合計額、過去最高  

SMBC日興証券の集計調査によると、東京証券取引所の最上位「プライム市場」の上場企業を中心とする1430社の2024年3月期の純利益合計額が47兆円を超え、過去最高の見通しにあることが分かった。前期比12.9%増で、背景には新型コロナウイルス禍の収束で人流や物流が回復するとともに、円安ドル高基調を背景に輸出関連企業が業績を伸ばしたことが挙げられている。SMBC日興証券は「値上げが浸透した一方、原材料価格が下がったことが追い風となった」と好調な業績要因を分析している。

自治体の非正規職員、財政難が響き増加  

総務省のまとめによると、自治体の非正規職員数は2023年4月1日時点で74万2725人に上ることが分かった。総務省が自治体の非正規職員数を3~4年ごとに調査しており、前回調査の2020年時点から6.9%増の4万8252人増えている。背景には、業務が増えていることに加え、自治体での財政難から正規職員を増やせないことが挙げられている。非正規職員は単純計算で正規職員の5人に1人を占めており、非正規は賃金が低く、年度末の3月を中心に雇止め問題も生じている。

封書110円、早ければ今年10月から  

情報通信行政・郵政行政審議会の分科会は郵便料金の諮問に対する答申案で、封書の料金を現行の84円から110円に引き上げることを認める答申案をまとめた。また、はがきの料金も現行の63円から85円に引き上げとなる。審議会が総務相への答申を決定し、消費者庁との協議や物価問題の閣僚会議を経て、日本郵便が正式に料金改定の届出を行う流れとなり、値上げ時期は早ければ今年10月からとなる。封書・はがきは3割超もの引き上げとなる。

マンション価格、全国平均5911万円  

不動産経済研究所は2023年の新築マンション1戸当たりの販売価格は全国平均で5911万円だったと発表した。前年比15.4%もの上昇で、7年連続で過去最高を更新した。大幅な上昇した背景には、資材価格や人件費の高騰に伴う工事費が膨らんだことが挙げられている。同研究所では「首都圏がけん引している部分が大きいが、全国的に上昇傾向となっている」と指摘している。一方、全国の発売戸数は前年比10.8%減の6万5075戸で、2年連続で前年を割り込んだ。

地方への移住相談、過去最多に  

認定NPO法人ふるさと回帰支援センターの調査によると、2023年の地方への移住相談件数は前年比13%増の5万9276件となり、過去最多となったことが分かった。相談件数は3年連続で過去最多を更新しており、田園回帰の潮流が拡がってきている。背景には、政府の移住支援金の認知度が高まっていることに加え、インターネットや新聞媒体による情報収集にも限界があることから、移住相談ができる窓口相談利用が増えてきている。相談件数は4年連続で静岡県が1位で、群馬県、栃木県が続いた。

未婚男女の半数超が「子ども、欲しくない」  

ロート製薬の妊活に対する意識調査「妊活白書2023年版」によると、18~29歳の未婚男女の55.2%が「将来、子どもをほしくない」と答えていることが分かった。男女別では男性が59.0%、女性が51.1%%、それぞれ「将来、子どもをほしくない」と答えている。初回調査の2020年度調査で44%が「子どもをほしくない」と答えていたが、ここ3年で11ポイントも急上昇しており、少子化への流れが加速してきている。

世界の肥満人口、10億人を突破  

世界保健機関(WHO)などの研究者1500人余りが世界190カ国で約2億2千万人の身長と体重を調査したうえで、2022年時点での肥満と分類される大人や子どもは推計で10億人を突破したことが明らかになった。肥満に分類された大人は世界で約8億8千万人、子どもは約1億5900万人だった。子どもや未成年の肥満は1990年から2022年にかけ世界で4倍に増え、大人の肥満は2倍以上増えている。肥満傾向はポリネシアやミクロネシア、中東及び北アフリカの低・中所得国で顕著だった。

社会・経済の動き@しんぶん.yomu第1070号

東京株式市場、34年ぶりに史上最高値  

2月22日、東京株式市場で日経平均株価の終値が3万9098円68銭となり、これまで最高値だった1989年12月29日以来約34年ぶりに史上最高値を付けた。2023年度の企業業績が過去最高水準になる見通しに加え、外国為替市場での円安ドル高基調にあることから輸出企業の業績を押し上げ、ハイテク関連株を中心に買い注文が広がった。株式市場では長く続いたデフレからの脱却が近づいたとの受け止め方が広がっている。

コロナ公費負担支援、4月から撤廃へ  

政府は新型コロナウイルスの治療や医療提供体制に関する公費支援を3月末で終了することとした。これにより、高額な治療薬代は医療費の窓口負担割合に応じて1~3割の自己負担になるとともに、入院医療費の公費支援も打ち切られることとなる。4月からは通常の医療体制となる。公費負担がなくなることで、重症化予防に用いられるラゲブリオを使用する場合には、1日2回5日分の1処方当たり約9万円のうち、3割負担の場合には約2万8千円を自己負担することになる。

2024年度予算、42道府県で予算縮小  

共同通信の集計によると、42度府県が2024年度一般会計の歳出が前年度を下回ることが明らかになった。新型コロナウイルス5類移行に伴い、対策費が減少したことが影響している。また、歳入では地方税収が好調な企業業績を背景に法人関係税収が伸びるものの、定額減税で住民税が全体で3千億円超減少し、25道県が税収減を見込んでいる。このため、政府は特例交付金を配分し減収分を全額穴埋めすることになっている。また、各都道府県の歳出で少子化対策を強化する向きが多くなっている。

1月貿易収支、2カ月ぶりに赤字に転じる  

財務省の発表によると、1月の貿易収支は1兆7583億円の赤字となったことが明らかになった。2か月ぶりの赤字となる。輸入額は前年同月比でマイナス9.6%の9兆910億円で10カ月連続の減少。輸出額は前年同月比プラス11.9%の7兆3327億円となり、2カ月連続で増加となり、1月としては1979年以来最大となった。1月の貿易収支は赤字だったが、過去最大となった前年同月と比べると赤字額は半減している。

2024年賃上げ予定企業は85.6%  

東京商工リサーチのアンケート調査によると、2024年度に賃上げ予定の企業は85.6%に上ることが分かった。規模別にみると、大企業が93.1%、中小企業が84.9%となっている。賃上げの内容では「ベースアップ」との回答が62.5%上り、前年度より6.1ポイント上昇している。賃上げに必要なことでは67.0%の企業が「製品・サービス単価の値上げ」と答え、2024年度に賃上げを実施しない企業のうち53.8%が「価格転嫁できていない」と指摘した。

気象庁、スパコン更新で精度高い予測  

気象庁は気象予測の精度高めるために新たなスーパーコンピュータを導入し、3月5日から運用を開始する。とくに、各地に被害をもたらす線状降水帯について、地域をより細かく絞った予測を可能とするとしている。新たに導入するスパコンは従来と比べ、処理性能は約2倍になり、線状降水帯の予測はこれまで5キロ四方を対象に出しているものから、半日前の発生予測を2キロ四方にまで対象エリアを絞り込むとしている。

日本への好感度、タイが最も高い90%超  

公益財団法人新聞通信調査会が発表した世界5カ国で実施した世論調査で日本に対し「好感が持てる」割合が最も高かったのはタイの91.1%だった。調査は米国、英国、フランス、韓国、タイの5カ国で行われ、対日好感度はタイに続き、フランス(81.5%)、米国(80.4%)、英国(71.1%)、韓国(44.0%)が続いた。韓国では対日関係の改善を反映し、2年連続で過去最高を記録している。調査は2015年から中国を加えた6カ国で行われてきたが、中国からの断りがあり、今回調査は外れた。

成人男女の8割が「なんとなく不調」  

漢方薬メーカーのツムラが20~60代の男女を対象にした意識調査で、「なんとなく不調を感じた経験」を尋ねたところ、80.0%の人が体調の悪さを感じていたことが分かった。世代別では30代女性が最も多く、90%が不調を感じていた。症状で多いのは(複数回答)、「疲れ・だるさ」(53.4%)、「目の疲れ」(49.7%)、「肩凝り」(48.1%)などだつた。不調の要因では(複数回答)、「睡眠不足」が最多だった。また、1か月のうち不調を感じる日数は平均9.5日だった。

社会・経済の動き@しんぶん.yomu第1069号

2050年働き手人口、市町村4割で半減  

国立社会保障・人口問題研究所が公表した地域別推計人口で2050年時点の15~64歳の生産年齢人口は2020年と比べると、699市町村が半数未満に減少することが分かった。2050年時点での15~64歳人口は5540万2千人となり、2020年時点と比べ26.2%減少する。全市区町村の4割で生産年齢人口が減り、地方の小規模自体の落ち込みが目立っている。働き手の大幅な減少は地域の産業や福祉の担い手不足だけでなく、自治体運営や交通・物流にも大きな影を落とすことになる。

日本のGDP、世界3位から4位に  

内閣府は2023年の日本の国内総生産(GDP)は約591億4820億円だったと発表した。これにより、ドルベース換算でドイツに抜かれ、これまでの世界3位から4位に転落したことになる。これまで日本は1968年から2009年までの41年間は米国に次いで世界2位だったが、2010年に中国に抜かれて3位になり、今回、4位となった。円安・ドル高が進展し、ドル換算での総額が目減りしたことが世界4位に転落したことが背景にある。

公共工事の労務単価、5.9%引き上げ  

国土交通省は公共工事の賃金の基準となる労働者の「労務単価」を全国平均で5.9%引き上げることを決定した。これにより8時間当たりの賃金は2万3600円となる。労務単価は公共工事の工事費見積に使われ、工事で働く人に支払われる賃金の基準となる。引き上げは、2013年以降12年連続で引き上げ改訂が行われ、引き上げ率は2014年の7.1%以来の高い水準となる。同省は建設業界でも物価上昇に伴う賃上げが進んでおり、直近の賃金水準を反映したとしている。

NISA適用証券口座、1年で約2割増に  

金融庁は少額投資非課税制度(NISA)適用対象の口座数は昨年12月末時点で2136万口座となったと発表した。前年同期より19%増えたことになり、栗田金融庁長官は「NISAが資産形成の一つとして受け入れられつつある」との認識を示した。NISAは1月から非課税保有期間が無期限になるとともに、生涯投資枠は従来の2倍以上となる1800万円に拡充されている。政府は家計金融資産を企業の成長投資に振り向け、その果実を投資家が受け取る好循環を目指すとして、NISA口座数を3400万件とする目標を掲げている。

世界の防衛費は9%増で過去最高  

国際戦略研究所(IISS)は世界の軍事情勢を記した報告書「2024年版ミリタリー・バランス」で、世界の防衛費は過去最高の約2兆2千億ドル(約328兆円)になったと発表した。前年比9%増で、背景にはロシアの軍事脅威に対応して北大西洋条約機構(NATO)が防衛費を拡大したことが挙げられている。また、報告書ではこの1年で法に基づく国際秩序に基づく脅威が高まり、各国が国防計画の見直しが迫られていると指摘している。

IT技術者の年収、日本は世界26位  

人材派遣会社ヒューマンリソシアの2023年版調査で世界のIT技術者の平均年収ランキングで首位はスイスの10万2839ドル(約1540万円)だったことが明らかになった。日本は3万6061ドル(約540万円)で、26位だった。日本はスイスの約35%の年収にとどまっており、大きな差異がみられた。同社では「円安の影響を差し引いても、給与面での優位性が後退している。日本の魅力低下が懸念される」と指摘している。

10~30歳代の献血、10年間で3割減少  

日本赤十字社血液事業本部は10~30歳代の献血者はこの10年間で3割減少していることを受け、献血への協力を呼び掛けている。輸血を必要とする高齢者が増加しており、献血への協力なしには成り立たない実情にある。血液は人工的にはつくることは叶わないことに加え、長期保存ができない。献血には血中の全ての成分を採血する「全血献血」と、特定の成分を採血する「成分献血」がある。同事業本部は「あなたの献血が巡り巡って自分や大切な人を助けるかもしれない」と献血への協力を呼び掛けている。

日商、中小企業の6割強が賃上げ予定  

日本商工会議所が中小企業を対象にした調査で、2024年に賃上げを予定している企業は61.3%に上ることが分かった。昨年より3.1ポイント増と増えている。背景に人材確保を急ぐ中小企業の姿勢がみられた。調査でも、「利益が十分でなくても人材確保のために〝防衛的賃上げ〟を行う」企業が60.3%で、業績好調を背景に賃上げをする企業は39.7%を上回っていた。日商では「原材料や人件費を価格転嫁する動きが進み、賃上げできる企業が増加するもの、まだ十分とは言えない」とみている。