社会・経済の動き@しんぶん.yomu第1128号

日本人の人口推計、過去最大89万人減  

総務省は2024年10月1日時点の人口推計で、日本人は過去最大となる89万8千人減の1億2029万6千人と発表した。一方、外国人を含む総人口は前年同月比55万人減の1億2380万2千人となり、14年連続でのマイナスだった。年齢構成でみると、0~14歳は34万3千人減の1383万人(総人口比11.2%)、15~64歳は7372万8千人(同59.6%)、65歳以上は3624万3千人(同29.3%)だった。

対米輸出、過去最高の21兆6482億円  

財務省は2024年度貿易統計速報で、米国向け輸出額は前年度比3.8%増となり、過去最高の21兆6482億円だったと発表した。対米輸出の筆頭は総額の約3割を占める自動車で、輸出台数はここ数年横ばいだったが、単価の上昇や円安を追い風に輸出額は増加傾向にある。対米輸出額が過去最大となったのは貿易摩擦が激化した1985年度の9兆6658億円だった。一方、米政権による高関税政策の圧力が増せば対米輸出は大きく落ち込む恐れがあり、日本の対米輸出業者にとっては打撃となる。

1~3月訪日客、過去最速で1千万人超え  

政府は3月に日本を訪れた外国人は推計で349万7600人となり、1月からの累計で1053万人となり、過去最速で年1千万人を突破した。また、1~3月の訪日客による消費額は前年同期比28.4%増の2兆2720億円となり、過去最高を更新した。消費額の費目別内訳では、宿泊費が7585億円で最多で、次いで買い物代金が6661億円、飲食費が5116億円だった。1人当たりの支出額は22万2千円となっている。

米関税、84%が「日々の生活に影響」  

共同通信社が行なった電話世論調査によると、トランプ米政権での関税政策に関し、84.2%が「日々の生活に影響がある」と答えていることが分かった。米政権の関税政策についての評価を尋ねたところ、「正当だ」と答える向きは19.5%にとどまり、73.9%が「不当だ」と答えていた。また、これに対する日本政府が報復関税で対抗すべきかどうかを尋ねたところ、18.3%が「対抗すべきだ」と答え、75.1%が「対抗すべきではない」と答えていた。

給油所の倒産・休廃業、3年連続で増加  

帝国データバンクのまとめによると、2024年に給油所の倒産や休廃業は184件に上ることが分かった。3年連続の増加で、背景としてガソリン需要の低迷に加え、給油所自体がコロナ禍におけるゼロゼロ融資での返済が経営を圧迫したことで休廃業となるケースが目立ったことが挙げられている。経済産業省の調べによると、給油所は約30年前の1994年度は6万カ所あったが、2023年度末には半数以下の約2万7000カ所に減少している。

日教組の組織率、49年連続低下の18%  

文部科学省の調査によると、日教組の2024年10月時点での組織率は18.8%だったことが分かった。49年連続での組織率低下で、過去最低の組織率となった。教職員団体組合の加入者は27万2445人で、うち日教組の19万868人だった。同省の調査は大学と高等専門学校を除く公立学校の常勤教職員を対象にしたもの。一方、全日本教職員組合(全教)は2万4445人で組織率は1.5%だった。

10年後の農地後継者未定は3割超  

農林水産省は各市町村が策定した「地域計画」を基に初集計したところ、全国で10年後の後継者が未定の農地は32.8%に上ることが分かった。中山間地の多い中国・四国が60.1%(22万ヘクタール)で最も高く、関東が49.4%(34万ヘクタール)、東海が38.8%(6万ヘクタール)で続いた。農水省は「農地集約が進んでいる地域で担い手が確保されている傾向があった」と分析した上で、「今後、どのような施策が必要か議論していく」としている。

熱中症対策、罰則付きで企業に義務付け  

厚生労働省は職場での熱中症の重症化防止の観点から企業に環境整備を図るなどの対策を罰則付きで、6月から義務付ける。熱中症による労働災害の深刻化していることを背景にしたもので、早期に発見し、早期に適切な対応を促す狙いがある。具体的には、暑さ指数(WBGT)が28度以上、または気温31度以上の環境で連続1時間以上か、1日4時間以上の作業をするケースが義務付けに対象となる。対策を怠った場合には、法人や代表者に6カ月以下の懲役または50万円以下の罰金を科すとしている。

社会・経済の動き@しんぶん.yomu第1127号

米景気、後退確率を45%に引き上げ  

ゴールドマン・サックスは米国の景気後退確率(リセッション)が今後12ヵ月以内に起きる確率は従来の35%から45%に引き上げた。後退確率を引き上げた背景には、広範な関税導入により貿易戦争への懸念が広がっていることが挙げられた。同社は1週間前に、米国のリセッション確率を20%から35%に引き上げたばかりで、米国の景気後退が一段と進むとみている。また、JPモルガンは米国および世界経済がリセッションに陥る確率は60%としている。

東証、4月第一週の下げ幅は過去最大  

4月4日の東京株式市場での終値は3万3780円58銭となり、昨年8月以来約8か月ぶりの安値水準で終えた。4月第一週間の終値下げ幅は3339円に達し、週間下げ幅は過去最大となった。東京株式市場では、貿易摩擦の警戒感から輸出関連株に売り注文が殺到した。株式市場から投資資金を引き揚げる動きが優勢となった。一方、外国為替市場は円買いドル売りが優勢となり、一時、1ドル=144円台まで円高が進んだ。

2月の実質賃金、2カ月連続で減少  

厚生労働省が公表した毎月勤労統計調査で物価変動を考慮した1人当たりの実質賃金は前年同月比1.2%減だったことが分かった。2カ月連続でのマイナスで、物価高騰に賃上げが追いついていない状況を示している。2月の名目賃金にあたる現金給与総額は3.1%増の28万9562円で38ヵ月連続プラスとなっている。しかし、消費者物価指数が4.3%上昇しており、実質賃金はマイナスとなっている。実質賃金は2024年5月まで過去最長となる26ヵ月連続でマイナスを記録し、その後は夏・冬のボーナスが支給された月だけがプラスとなっている。

後継者難倒産、2年連続で500件超に  

帝国データバンクの調べによると、2024年度に後継者がいないことで事業継続が困難になった「後継者難倒産」は507件となり、2年連続で500件を上回ったことが明らかになった。過去2番目の高水準にあり、業種別にみると、建設業が127件と全体の25%を占め、次いで、製造業(88件)、サービス業(87件)が続いた。後継者難倒産が続く背景には、社長の高齢化が挙げられており、2024年の後継者難倒産の倒産時の社長の平均年齢は69.8歳となっている。

2024年度、企業物価指数は3.3%上昇  

日銀は2024年度平均の国内企業物価指数(2020年平均=100)は前年度比3.3%上昇の123.9だったと発表した。前年度の伸び率2.4%から拡大しており、指数水準は比較可能な1980年度以降で最高だった。背景には、政府による電気・ガス代の補助縮小に加えて、コメ価格の高騰、さらに円安による輸入物価の高止まりから企業の負担増となっている。こうした負担増の価格転嫁が企業の今後の盛衰を分ける一因ともなっている。

内閣府初集計、「孤立死」は年2.2万人  

内閣府が初めて推計調査した2024年の「孤立死」は2万1856人だったことが明らかになった。「孤立死」は自宅で1人暮らしの人で、誰にも看取られなく亡くなり、死後8日以上経過して発見された人を指し、生前、社会的に孤立していたとみられる死亡したものと定義されている。内閣府は「単身世帯の増加により孤独や孤立の問題が深刻化する懸念がある」と指摘している。今後、内閣府では自治体と連携し、孤立死を防ぐ対策を検討する方針を示している。

2021年、全国のがん患者は98万人  

厚生労働省が全ての患者数を集計する「全国がん登録」のデータを分析したところ、2021年にがんと診断された患者は98万8900人だったと発表した。前年から約4万4千人増えている。男性が55万518人、女性が43万2982人。男性の部位別では最も多かったのは前立腺がんが9万5584人で50代後半から急増し、女性は乳がんが9万8782人で30代前半から増えている。人口10万人当たりの患者数で多かったのは秋田(424人)で、最も少ないのは宮崎(344人)だった。

大学生バイト就労率、最高の76.8%  

全国大学生活協同組合連合会が全国の国公立大と私立大の学部生約5万人を対象にとしたアンケート調査によると、学生全体のアルバイト就労率が過去10年で最高の76.8%に上ることが分かった。日常悩むことを尋ねたところ(複数回答)、「生活費やお金」(44.7%)が最多で、「勉学のこと」(44.7%)、「就職」(37.8%)が続いた。自由記述では「物価高で生活が苦しい」「買いたいものを諦めることが増えた」の回答が目立ち、中には「奨学金の返済が怖く、漠然とした不安がある」との回答もあった。

社会・経済の動き@しんぶん.yomu第1126号

米、日本に24%の相互関税を導入  

トランプ米大統領は4月2日に米国との貿易関係に基づく「相互関税」を導入することを発表した。米貿易赤字の状況から全ての国・地域に一律に10%の追加関税を導入したうえで、貿易赤字などの状況から貿易相手の国・地域別に上乗せするとした。日本は併せて24%、中国は34%、欧州連合(EU)は20%とした。相互関税は米国に生産を促し、貿易赤字を解消する狙いがある。第2次世界大戦後80年目にして、自由貿易からの大転換であり、反発が見込まれている。

相互関税で景気後退懸念で米ダウ急落  

4月3日のニューヨーク株式市場はトランプ米大統領が導入を発表した相互関税で景気が後退するとの懸念から、優良株で構成するダウ工業平均は前日比1679.39ドル安の4万545.93ドルで終了した。日経平均株価も3万5000円台を割り込み、欧州市場やアジア市場も大きく値を下げ、世界同時株安となった。高関税政策から先行きに不透明感が増すことや世界各国を舞台にした経済紛争が生じかねない危惧が増している。

南海トラフ地震死者数、最大で約30万人  

政府の南海トラフ巨大地震作業部会が発表した新たな被害想定によると、死者数は最大で29万8千人になることが明らかになった。前回発表した2012年の措定では32万3千人だったが、被害抑制対策の取り組みにも関わらず、生命に関わる浸水域が拡大した影響から1割の減少にとどまっている。被害想定では、南海トラフ地震が震度6弱以上か高さ3m以上の津波に見舞われるのは31都府県764自治体に及ぶとしている。また、避難者数は最大で1230万人に及び、全壊・焼失建物は最大で235万棟とみている。

米向け輸出、4年連続増加の21兆円  

財務省の貿易統計によると、2024年の日本から米国向け輸出額は21兆2947億円だった。4年連続での増加で、日本の輸出額全体の約2割に上っていた。逆に米国からの輸入額は12兆6666億円で、輸出から輸入を差し引いた貿易収支は8兆6281億円の黒字となっている。対米輸出ではバスやトラックを含んだ自動車が6兆264億円で、対米輸出の28.3%を占めている。また、2024年の農林水産物・食品の対米輸出はホタテや牛肉、日本酒が好調で、2429億円となっている。

2033年、AI市場規模は約25倍に急拡大  

国連貿易開発会議(UNCTAD)は2025年版技術・革新報告書で、人工知能(AI)の市場規模は2033年に4兆7720億ドル(約712兆円)になるとの見通しを発表した。2023年から約25倍もの急成長となる。UNCTADは日本のAIを含む準備状況で170カ国・地域で20位と位置づけ、「十分な準備」が整っていると評価した。しかし、日本は「金融」で優れているとしたものの、「人材技能」での評価は低かった。

NTT固定電話、ピーク時の6分の1に  

NTT東日本とNTT西日本の固定電話サービス「加入電話」の契約数は2025年度までに前年比8.6%減の972万件になるとの予測する事業計画を示した。契約数が1000万件未満となるのは1966年度以来60年ぶりとなり、契約数がピークだった1990年代後半の6分の1水準となる。固定電話の赤字額は年間約300億円に達し、一部を交付金が払われている。光回線を用いた「ひかり電話」の契約数も2024年末時点で前年末比2.4%減の1802万チャンネルとなる。

節約志向を反映し、2月食料費4.5%減  

総務省が発表した2月の家計調査で、1世帯(2人以上)平均の「食料」への消費支出額は8万4388円で、物価変動の影響を除いた実質で前年同月比45%減だったことが分かった。節約志向の高まりから、家計のやりくりでの厳しい姿勢を浮き彫りにしている。消費支出の内訳をみると、価格上昇が著しいトマトやブロッコリーといった生鮮野菜が12.0%減、生鮮魚介は8.4%減、生鮮肉も7.5%減、コメは2.2%減などとなっている。

幸福度が最も高いのは「朝」の起床時  

英国の研究グループがメンタルヘルスに関する調査で、一日の中で最も精神状態が良く、幸福度が高い時間帯は「朝の起床時」と発表した。研究グループが18歳以上の約5万人を追跡調査したデータを分析したもので、抑うつや不安症状の程度に基づいた精神的な健康状態、幸福度、孤独感を評価した一日の変化を調べたもので、精神的な健康状態や幸福度は「朝の起床時」に最も良好で、逆に「深夜」が最も状態が悪くなることが分かった。また、季節では最も良い状態が「夏」だった。

社会・経済の動き@しんぶん.yomu第1125号

4月、値上げラッシュで家計を圧迫  

4月、食品・日用品やサービス、電気・ガス料金、大学授業料、そして春闘での賃上げによる価格転嫁で広範囲での値上げが行なわれ、まさに家計に重くのしかかる新年度となる。帝国データバンクの調べによると、食品や飲料の4月の値上げは4170品目に及び、前年同月比1千目を超える広範囲な分野で行われる。電気・ガスも政府の補助金が終わり、NTT東日本のインターネット通信「フレッツ光ネクスト」の一部も利用料金が引き上げられる

WHO、米脱退で予算5分の1削減へ  

世界保健機構(WHO)は予算の5分の1を削減する方針を示した。WHOは米国の脱退に加え、幾つかの国での防衛費増額により政府開発援助が削減されたことから2026~27年度予算案を53億ドル(約8千億円)から42億ドル(約6300億円)に削減したことを加盟国に提示している。テドロス事務局長は「世界の保健衛生を取り巻く状況はさらに悪化している」としたうえで、職員に活動縮小や人員削減が必要になると訴えている。

コメ価格、11週連続値上がりの4172円  

農林水産省の発表によると、3月10~16日に全国のスーパーで販売された米岐路足りの平均価格は4172円だったことが分かった。前年同期の2倍を超え、11週連続での値上がりとなっており、最高値を更新している。政府備蓄米の放出による値下げ効果はみられていない状況にあり、専門家は放出米が市場に出回っても値下がり幅は「数百円程度」との見方が出ており、前年同期の2千円台への回復は厳しいとみている。石破首相は備蓄米の追加放出も辞さない考えを示している。

2023年時点での耐震化率は90%  

国土交通省のまとめによると、全国で耐震性が確保されている住宅の割合は2023年時点で90%との推計だったことか明らかになった。同省では改修のほか、古い住宅の建て替え、解体で耐震不足の建物が減ったとみている。残る10%にあたる570万戸は最大震度7を観測された能登地震や熊本地震と同程度に揺れで倒壊する危惧がある。なお、耐震化率の推計は人が住んでいる住宅が対象で、耐震性がないものの、空き家となった物件は除外されることから、空き家物件の増加が耐震化率上昇の一因とみられる。

2023年児童虐待、最多の22万件超  

厚生労働省とこども家庭庁のまとめによると、2023年度の虐待相談対応件数は過去最多の22万5509件に上ることが分かった。33年連続で増加してきている。約6割近くが暴言などで心を傷つける心理的虐待で、このうち半数を超えるケースは子どもの前で家族に暴力を振るう「面前DV」だった。虐待された子の年齢は3歳が約1万5千件弱で最も多かった。こども政策担当相は「核家族化や地域関係の希薄化で子育ての困難に向き合わざるを得ない家庭が多い」と指摘している。

30年間で日本の平均寿命、5.8年延びる  

慶応大チームの分析結果によると、日本の平均寿命は1990年~2021年の約30年間で5.8年延びて85.2歳となったことが分かった。また、47都道府県での最長と最短の差が1990年には2.3年だったが、2021年には2.9年に広がっていた。さらに、健康寿命と平均寿命との差は、1990年には9.9年だったが、2021年には11.3年だった。チームの野村慶応大特任教授は「健康な長寿の実現が課題だ」と指摘している。

科学者に対する信頼度、日本は59位  

国際研究チームが新型コロナウイルス感染拡大後の2022~23年に68の国・地域に住む人を対象に科学者に対する信頼度を調べたところ、最高を5としたスコアが3.62だったと英科学誌に発表した。同チームは「ほとんどの国で科学者は信頼されている」と評価したが、日本は平均を下回る3.37で68の国・地域で59位だった。日本から参加した田中・早稲田大教授は「ワクチン接種や気候変動の問題で社会に分断が起きており、対話で解決するには科学への信頼が重要になる」と指摘している。

2024年小中高生の自殺、過去最多に  

厚生労働省の警察庁自殺統計に基づいたまとめによると、2024年の小中高生の自殺者確定数は過去最多の529人となったことが明らかになった。小中高生の自殺者は2022年以降500人超で推移しており、2024年は小学生が15人、中学生が163人、高校生が351人となっている。原因・動機は「学校問題」が最も多く、その中でも「学業不振」「学友との不和」が続いた。自殺者の全体では2万320人に上り、原因・動機は「健康問題」が最多で、「経済・生活問題」が続いた。

社会・経済の動き@しんぶん.yomu第1124号

公示価格、バブル以降で最大の伸び  

国土交通省が発表した2025年1月1日時点での公示価格の全用途の全国平均は前年比2.7%増加していることが分かった。4年連続での上昇となり、増加幅はバブル期だった1991年の11.3%以降で最大となった。住宅地の全国平均は2.1%増、商業地は3.9%増となっている。新型コロナウイルスに見舞われる前の2020年の全用途地価と比較すると、三大都市圏では約8割の地点で上回り、地方圏では約5割の地点で上回るにとどまっている。コロナ以前から長期下落傾向にあったが、同省では「コロナの影響は全国的にほぼ解消された」とみている

男女の賃金格差、過去最少に  

厚生労働省の2024年賃金構造基本統計調査で、フルタイムで働く男性の賃金を100とした場合、女性は75.8となることが明らかになった。格差は前年比1.0ポイント縮小し、比較可能な1976年以降で最も小さくなった。また、月額賃金は男性が3.5%増の36万3100円、女性が4.8%増の27万5300円となり、1991年以来の高い伸びとなっている。

富士山大噴火、検討会が指針案報告書  

富士山の大規模噴火で首都圏に火山灰が降る場合の対策に関して内閣府の有識検討会は住民行動の基本方針に関する報告書を公表した。指針では「できる限り降灰区域内にとどまり、自宅などで生活を継続する」ことを住民行動の基本方針とするようにとの見解を示し、政府は近く自治体に通知する。報告書では、降り積もる灰の厚さに応じ4段階に分類し、最も深刻なステージ4にあたる30センチ以上の降灰では、降雨時に木造家屋の倒壊や土石流が発生する危険性から、原則「住民避難」を求めている。

NISA投資額、累計で56兆円を突破  

日本証券業協会はNISA(少額投資非課税制度)口座での株式や投資信託などの買い付け額が2024年度末時点で累計56.5兆円に達したと発表した。政府は2022年に倍増プランで5年をかけて56兆円に増やす目標を掲げていたが、3年前倒しで達成したことになる。また、口座数についても政府は2022年時点の1700万件を5年で3400万件にするとしていたが、金融庁の集計では昨年末時点で2560万件にとどまっていた。口座数は買い付け額ほどに伸びてはいない状況にある。

コスト上昇分の価格転嫁は4割どまり  

帝国データバンクが行なった価格転嫁に関する実態調査によると、人件費や原材料費などのコスト上昇分のうち、企業が販売価格に上乗せできた割合を示す価格転嫁率は40.6%だったことが分かった。前回調査の2024年7月時点と比べ、4.3ポイント低下していた。背景には、取引先や消費者の反発を恐れて値上げをためらい、コスト上昇分の多くを自ら負担している実態がみられた。直近の経営課題は価格転嫁をどう進めるべきかにある。

家計金融資産、過去最大の2230兆円  

日銀の2024年10~12月期の資金循環統計によると、家計が保有する金融資産の残高は昨年12月末時点で2230兆円になることが明らかになった。前年同期比4.0%の増加で、過去最大を更新した。背景には、新しいNISA(少額投資非課税制度)や株高が寄与し、投資信託が27.4%増の136兆円に伸びたことが寄与している。投資信託以外の金融資産の内訳では、株式が9.5%増の298兆円に拡大するとともに、現金・預金が0.6%増の1134兆円と過去最大となっている。

書店減少に64%が「不安」  

日本世論調査会が全国の18歳以上の男女を対象にした調査で、書店が減ることに「不安を感じる」と答えた人は64%に上ることが分かった。一方、「不安を感じない」は35%にとどまり、多くの人は書店が必要だと感じていた。不安を感じる理由では(2つまで回答)、「本を手に取って選べなくなるから」が最多の70%で、「子どもたちが本に触れる機会が減るから」が43%で続いた。書店を支援するために、国や自治体が税金を使うことに「賛成」とする声も64%あったが、「書店が減ることに不安を感じない」人のうち56%は「税金投入」に反対だった。

若者の5割超が「子どもは育てたくない」  

日本大学の末富教授らの研究グループが全国の15~39歳の男女を対象にした調査で、「子どもはおらず、子どもは育てたくない」と答えた人が52.0%に上ったことが分かった。また、少子化対策で「とても必要」「必要」と答えた施策は(複数回答)、「ワークライフバランスの改善(78.2%)、「柔軟な働き方の拡大」(77.8%)が挙げられた。末富教授は「働き方の問題など若者が心配しているリスクに総合的にアプローチしていく必要がある」と指摘している。

社会・経済の動き@しんぶん.yomu第1123号

春闘、平均賃上げ率は5.46%  

連合が今春の春闘における第一回集計によると、定期昇給と基本給を引き上げるベースアップなどを含んだ平均の賃上げ率は5.46%となったことが明らかになった。賃上げ率は昨年同期より0.18ポイント増となり、2年連続で5%台となっている。ただ、3年連続で賃金が物価上昇を上回らない実質賃金がマイナスとなっているだけに、今年がプラスに転じるかが焦点となっている。今年も値上げラッシュが見込まれており、実質賃金は下落が続くものとみるエコノミストは少なくない。

2024年GDP、下方修正の年2.2%増  

内閣府は2024年10~12月期国内総生産(GDP)改定値で、物価変動の影響を除く実質で年率換算は2.2%増だったと発表した。2月に公表した速報値では年率2.8%増だったが、引き下げた背景には、個人消費が横ばいとした修正したことが響いている。今後、物価高の長期化による消費不振に加え、トランプ米政権の関税政策で日本の企業業績を押し下げて賃上げが停滞する恐れがあり、エコノミストは「成長幅は小幅にとどまる」と先行きに懸念を示している。

NY.金先物、初の3千ドルを突破  

3月14日のニューヨーク商品取引所の金先物相場で4月渡しが前日比9.80ドル高の1オンス=3001.10ドルで取引を終えた。初めて3000ドルを超えた。背景には、トランプ米政権による貿易関税による強化によって、貿易戦争が激化し、世界経済が減速するとの見方から安全資産とする金に資金を移動する動きがみられた。今後、世界各国での金相場が上昇する局面が予想されている。

政府備蓄米の放出、初回落札2万円強  

農林水産省が公表した政府備蓄米放出の初回入札結果によると、平均落札価格は60キロ当たり2万1217円だった。同省では21万トンの備蓄米を放出する計画で、今回放出対象となった15万トンに対する入札が行われた。同省によると、2024年産米の相対取引価格(全銘柄平均)は昨年9~今年1月の取引分で玄米60キロ当たり2万4055円となっており、これに集荷や流通コストが上乗せされて販売されている。今回の落札分は3月内にスーパーなどの店頭に並ぶが、高騰する米価がどこまで低下するかが焦点となる。

2024年生活保護申請、過去最多に  

厚生労働省の統計によると、2024年1~12月の生活保護申請件数は前年比0.3%増の25万5897件となったことが分かった。5年連続での増加で、比較可能な2013年以降で最多だった。背景には新型コロナウイルス禍で打撃を受けた上に、賃上げの効果が行き届かず、物価高が長く続いたことが影響したとみられることが挙げられている。とくに、高齢者世帯を中心とした申請件数が増えている。

今春卒大学生の就職内定率、過去最高  

厚生労働省の就職内定状況調査によると、2月時点での今春卒業予定大学生の就職内定率は92.6%だった。昨年同時期比1.0ポイント増となり、2月時点としては1999年度以降で過去最高となった。同省では「人手不足などから企業の採用意欲が強まり、求人数が増加している」と分析しており、就職内定率の高止まり背景を指摘している。短大を含めた全体でも昨年より0.7ポイント増加の92.1%となっている。

昨年の運転免許返納は42万件  

警視庁の発表によると、2024年に運転免許証が自主返納された件数は42万7914件だったことが分かった。75歳以上の返納は全体の6割強を占め、75歳未満は4割弱が返納していた。返納後の75歳以上の免許保有者は789万人となっている。2019年には東京で高齢ドライバーが母子をはねて死亡させる事故があったことを受けて、過去最多となる運転免許証の返納があったものの、過疎地で暮らす高齢者にとっては自動車への依存が高いことも運転免許証返納の実態から見えてくる。

家庭の年間防災費、前年から6割増  

住友生命保険の「家庭の防災対策2025年版」によると、年間の防災対策費は前年の1万292円から約6割増加の1万6356円になったことが分かった。2024年に起きた災害で防災意識が高まったとの回答は7割強に達した。最も防災への備えが必要と考えるのは、地震が最多の72.4%で、台風(8.1%)、大雨・洪水(5.8%)で続いた。家庭での備えでは(複数回答)、「非常用飲料水の備蓄」(41.8%)、「非常用食品の備蓄」(36.1%)で、それぞれ3日分が約4割を占めた。

社会・経済の動き@しんぶん.yomu第1122号

2024年度国民負担率、微減の45.8%  

財務省は2024年度の国民負担率は前年度から微減の45.8%だったと発表した。国民負担率は個人や企業など国民全体の所得に対する税金や社会保険料の負担割合を表すもので、2024年度は企業業績が堅調だったことや雇用者報酬が伸びたことに加え、定額減税が行われたことで、前年度より微減となった。定額減税がなくなる2025年度は46.2%に上がる見通しとなる。国民負担率は20年前が34%程度だったが、2013年以降は40%程度で推移している。

1月の実質賃金、3ヵ月ぶりのマイナス  

厚生労働省は毎月勤労統計調査で物価の影響を考慮した「実質賃金」は前年同月比1.8%減となり、3ヵ月ぶりのマイナスとなったと発表した。一方、1月に労働者が受け取った基本給や残業代などを合わせた「現金給与」総額は平均29万5505円で、前年同月比2.8%増となり、37ヵ月連続でプラスとなった。実質賃金が減少していることについて、同省では「1月は特別賞与がない中で、物価高の影響で減少している」とみている。

6割が2051年廃炉の計画達成できず  

日本世論調査会が原発に関する世論調査結果で、東京電力福島第一原発の溶解核燃料(デブリ)を全量取り出して、2051年まで廃炉を終える政府と東電の計画に対し、6割が「できるとは思わない」と答えていた。廃炉計画に疑問を呈する人が多く、デブリは推計で880トンあり、昨年初めて試験的に行い、回収は約0.7グラムにとどまっている。できない理由として、「安全に処分する方法や処分場所が見つかるとは思えない」が最多の40%で、「廃炉は順調に進んでいない」(26%)が挙げられた。

春闘での賃上げ要求、平均6.09%  

連合が発表した2025年春闘での傘下労働組合によると賃上げ要求の加重平均は6.09%だったことが分かった。1993年の7.15%以来32年ぶりに6%を超えた。背景には、物価高や人手不足から高水準の賃上げを求めている実態がある。規模別にみると、組合員300人未満の労組が要求した賃上げ率は平均6.57%で、連合が求めた中小組合の目標とした6%を超えており、中小企業での賃上げ対応に焦点が集まる。

従業員の退職での倒産、過去最多  

帝国データバンクの調べで、従業員や経営幹部などの退職が直接・間接的に起因した「従業員退職型」の人手不足倒産は87件に及び、2013年以降で最多を更新した。「従業員退職型」倒産ではサービス業が最多の31件で、ソフトウェア開発のIT産業や人材派遣会社、老人福祉施設などが続き、人手不足感を抱く業界が中心だった。次いで建設業の業務遂行に必要な資格を持つ従業員の退職で倒産に追い込まれていた。満足な賃上げされないなど「待遇改善を行わない」業界での倒産増加が危惧されている。

日本の女性の働きやすさ、世界27位  

英誌エコノミストが女性の働きやすさは先進国29カ国を対象に指数化したところ、日本は27位だった。首位はスウェーデンで、アイスランド、フィンランド、の~ウェーが続き、上位4カ国を北欧4カ国が占めており、いずれの国も男女平等と共働きを支援する政策が評価されている。下から3番目の日本は、女性の平均賃金が男性より11.4%低く、賃金格差が拡大していると指摘している。主要国ではイギリスとカナダが14位、イタリアが16位、アメリカが19位となっている。

警視庁、新大卒初任給を30万円超に  

警視庁が2026年春に入庁する大卒警察官の初任給を30万円超に引き上げることが明らかになった。現在の大卒警察官初任給は26万9500円になっているが、30万2100円へと引き上げられることになる。警察官採用試験の受験者は2010年度に3万人余に上っていたが、2024年度は8341人と3分の1以下に減っていることや、民間企業の多くが適性検査のSPI(総合適性検査)を採用することで民間企業と併願する学生の負担を軽減し、受験しやすい狙いがある。

漫画市場、初めて7000億円を突破  

出版科学研究所の発表によると、「紙の本」「電子書籍」を合わせた漫画の2024年の推定販売額は7043億円だったことが明らかになった。前年比1.5%増で、初めて7千億円を超えた。漫画市場では単行本雑誌の「紙の本」の減少が続く中で、「電子書籍」のシェアは7割を超えた。とくに「電子書籍」は前年比6.0%増となり、2019年のほぼ2倍となっている。ただ、同研究所では「電子書籍は広く浸透しているものの、新規ユーザー数が落ち着いてきた」とみている。

社会・経済の動き@しんぶん.yomu第1121号

2024年出生数、過去最少の約72万人  

厚生労働省は昨年1年間に生まれた子どもの数は72万988人だったと発表した。前年から約3万8千人少なく、9年連続の減少となった。また、2024年の出生数は統計を開始した1899年以来、過去最少を更新した。一方、昨年1年間に死亡した人は161万8684人で、過去最多となり、出生数の減少と死亡者数の増加は一段の人口減少社会へと突き進む構図となっている。なお、婚姻の件数は前年約1万組以上増の約50万組で、2年ぶりの増加となった。

中小の賃上げ6%は1割未満止まり  

東京商工リサーチの調査によると、2025年春闘で連合が目標に掲げる6%以上の賃上げを見込む中小企業は9.1%と低調なことが分かった。賃上げを予定する中小企業は3%台が29.0%で最多で、5%台が16.2%で続き、高水準となる10%以上は2.7%と僅かだった。中小企業全体平均での賃上げ率は3.94%で、連合が大手企業との賃金格差を是正する上から、中小の賃上げを6%以上の半分以下にとどまることが分かった。同社では「中小での賃上げ率は高い水準にあるものの、大手には届いていない」と分析している。

二酸化炭素の増加量、過去最大に              

環境省の発表によると、人工衛星「いぶき」で観測した地球の大気中の二酸化炭素(CO2)濃度を分析した結果、2024年は前年から増加量が最大の3.5ppmだった。化石燃料を使う人間の活動や世界各地での森林火災などが影響しているものとみられる。人工衛星「いぶき」は高度660キロの軌道を周回し、地表から大気の上端までの温室ガスを観測でき、地球全体の大気中のCO2濃度は2024年の平均が421.3ppmで、観測以降で最も高く、前年からの増加量は過去最大だった。

2025年飲食料品値上げ、累計1万品目  

帝国データバンクの調べによると、主要な食品メーカー195社における3月の飲食料品の値上げは2343品目に上ることが分かった。2025年通年の値上げは8月までの公表分で累計1万797品目に上り、年間で1万品目を超えるのは調査開始の2022年以降で4年連続となる。値上げの背景には、原材料などの値上げが多くを占め、加えて人件費や物流費などのサービス価格上昇、光熱費などのエネルギー上昇などが挙げられている。

米価高騰、10ヵ月連続での上昇  

総務省は2月の小売物価統計で、コシヒカリ(5キロ)の価格が前月から4%上昇の4363円だったと発表した。昨年5月以来10カ月連続の上昇で、前年同月比では1922円高く、1.8倍にも跳ね上がっている。また、同省から発表された消費者物価指数(2020年=100)の米類は181.6となり、1970年以降で5ヵ月連続の最高値を更新してきている。農林水産省が備蓄米の放出を決定しているものの、米価下落には至っていない。

「家じまい」査定依頼、2022年比2倍超  

不動産・住宅情報サービスを展開するライフルが行なった「家じまい」調査によると、2024年に相続を理由とした全国の住宅売却査定の依頼件数は2022年比2.23倍になることが分かった。築年数が「築31年以上」が8割を占め、建物の種類別では「一戸建て」が最多の66.5%で、「土地」が25.1%、「マンション」が6.7%だった。地域別に伸び率(2022年比)をみると、東北が2.74倍で最も多く、九州・沖縄の2.57倍、北海道が2.37倍で続いた。

山火事、7割が「冬から春」に発生  

総務省消防庁によると、2022年までの5年間に山火事は年間約1300件発生し、焼損面積は約700ヘクタール、損害額は約2億4千万円に上っている。とくに発生時期は冬から春(1~5月)の発生が約7割を占めていた。出火の原因をみると、人が関係するものが多く、刈り取った草木を自宅の庭や畑で焼却する「たき火」が約3割、河原や畑の野焼きなどが約2割を占め、それらの火の粉が強い風で飛んだ火の粉が雑木林や山林に引火することが多いとしている。

大学生、物価高を背景に悩みは「お金」  

全国大学生協連が行なった学生生活実態調査結果によると、日常節活の悩みで「生活費やお金のこと」が最多の46.8%だったことが分かった。奨学金を「受給している」は前年に続き、3割を下回り、2019年以降最低で、返済への将来不安から奨学金貸与型が減っている。また、アルバイトの就労率は過去最高になり、月7万円以上を稼ぐ層が増加傾向にある。生協連では「健康面や学業とのバランスが懸念される」としている。物価高でお金に関して悩む大学生の実態が浮き彫りとなっている。

社会・経済の動き@しんぶん.yomu第1120号

2024年名目GDP、初の600兆円超え  

内閣府が発表した2024年10~12月期の国内総生産(GDP)は物価変動を除く実質で前期比0.7%増となり、3四半期連続でのプラス成長となった。年率換算では2.8%増で、2024年の名目GDPは609兆2887億円となり、通年ペースで初めて600兆円を超えた。600兆円突破は物価高の影響が大きかったことで、経済成長の実感は乏しいものとなっている。日本のGDPは2023年にドイツに抜かれて世界4位に転落し、数年以内にインドを下回ると見られている。

エネルギー基本計画、原発発電量を2割に  

政府が閣議決定したエネルギー基本計画改定案で、原発の立替要件を緩和し、2040年度の発電量を2023年度の8.5%から20%程度まで引き上げるとした。2040年度の電源割合の構成は火力が3~4割、再生可能エネルギーは4~5割程度、原子力は2割程度とするとした。これまで東京電力福島第一原発事故の反省から基本計画に明記してきた「可能な限り原発依存度を低減する」との表現は今回の基本計画では削除された。

今春、企業の7割が初任給引上げ  

帝国データバンクが企業を対象に今年4月に入社する新入社員への初任給に関する調査をしたところ、71.0%の企業が引き上げると回答していることが分かった。引き上げ額は1万~2万円未満が41.3%で、次いで5千~1万円未満が30.7%で、平均は9114円だった。同社では「大企業の賃上げの流れについていくために中小でも引き上げる動きが強まっている」とみている。人件費の上昇が物価高と併せ、経営者にとっては大きな経営課題となってきている。

JR北海道、10年間で120駅余が廃止  

JR北海道で2025年3月のダイヤ改正で5つの駅の廃止が予定され、2016年以降の10年間で120駅余が路線図から消えることになる。2000年以降の4半期世紀でみると、廃止された道内の旅客用駅は180駅に上る。廃止の要因で大きいのは、慢性的な赤字などで路線全体や一部区間がまとめて廃止されたことに加え、利用状況から極端に利用者が少ない駅を対象に見直しが進んだことが挙げられている。利用者が少ないことを裏返せば、人口減少による過疎化の進展があり、今後、地方ほど増える可能性が高いと言える。

1月コメ卸価格、過去最高の2万5927円  

農林水産省が発表した今年1月のコメ出荷業者と卸売業者が売買する際の価格である「相対取引価格」が全銘柄平均は玄米60キロ当たり2万5927円だったことが明らかになった。1990年以降の単月としては過去最高値となった。前年同月比69%の上昇となり、金額では1万569円の値上がりとなった。同省では「コメの不足感から集荷競争が続いている」とみている。政府は最大21万トンの備蓄米放出を公表しているが、価格高騰を抑えられるかが注目されている。

2026年卒生の就職内定、6ポイント上昇  

就職情報会社キャリタスの調査で、今年2月時点での2026年大学・大学院生が企業の選考を受けた人は73.3%に上り、そのうち内定を得たのは前年より6.1ポイント増の39.9%に上ることが分かった。人材確保を急ぐ企業側が採用活動を前倒しする傾向が強めている姿勢が伺えた。こうした状況に都内の私立大の担当者は「就職活動の早期化は若者を疲弊させ、成長の可能性を奪っている」と指摘し、企業の採用活動の前倒しをけん制している。

ノンアル飲料販売、過去最高の886億円  

調査会社インテージの推計で、2024年のノンアルコール飲料の店頭販売金額は前年比6.5%増の886億円で、2017年以降で過去最高となったことが分かった。背景には、健康志向の高まりに加えて、メーカーによる味の改善努力があり、積極的にノンアルを選択する消費者が急増していることが挙げられている。メーカー各社ともノンアル飲料に力を入れており、アサヒビールは2030年代前半に売上1千億円を目指すとともに、他のメーカー各社もカクテル風味やビール風味のノンアル開発へ力を注いでいる。

1日の運動時間5分増すごとに血圧低下  

英国などの国際共同研究グループの発表によると、1日の運動時間を5分増やすと血圧が低下することが分かった。グループは平均年齢54.2歳の太ももに加速度計を装着し活動量を測定したもので、1日の睡眠時間、立っている時間、ゆっくり歩く時間、早く歩く時間、ランニングなどの運動時間など、それぞれの行動時間と血圧の関係を調べた。結果、運動時間が5分長くなるごとに収縮期血圧は0.68mmHg、拡張期血圧は0.54mmHg、それぞれ低下することが分かった。

社会・経済の動き@しんぶん.yomu第1119号

政府の借金、過去最大の1317兆円  

財務省が発表した「政府の借金」は2024年末時点で過去最大の1317兆6365億円だった。「政府の借金」は国債と借入金、政府短期証券を合計したもので、過去最大を更新した。借金の内訳をみると、国債が2023年末時点より約27兆円増の1173兆5559億円で、このうち償還や利払いに主に税収を充てる「普通国債」は27兆2261億円増の1071兆47億円だった。減税や教育無償化など歳入・歳出の両面からの圧力も強まってきており、借金依存からの脱却は程遠い状況にある。

長期金利、15年ぶり水準に一時上昇  

2月13日の東京債券市場で長期金利の指標となる新発10年物国債の流通利回りが一時1.370%に上昇した。2010年4月以降、約15年ぶりの高水準となった。背景には、米利下げ観測の後退などが伝わり、4営業日連続での上昇となった。事実、米市場では消費者物価指数の伸び率が前年同月比4ヵ月連続で拡大しており、インフレが再燃する見方が広まり、米連邦準備制度理事会(FRB)での早期利下げが後退し米長期金利が上昇している。

農水省、備蓄米21万トンを放出  

2月14日、農林水産省は備蓄米21万トンを放出すると発表した。同省では、先ず15万トンを3月中旬に放出し、流通の状況を踏まえて追加供給する考えだ。高騰する米価を是正する狙いから備蓄米の放出に踏み切った形だ。放出する備蓄米は初回の15万トンのうち、10万トンは昨秋収穫された2024年産で、5万トンは2023年産米となる。3月初めに同省が売却先の集荷業者を決定する入札を実施し、小売店の店頭には3月末となる見通しだ。

1月の企業倒産、11年ぶりに800件超  

東京商工リサーチの調べによると、1月の全国企業倒産件数(負債額1千万円以上)は840件に上ることが分かった。前年同月比19.82%もの急増となり、1月としては2014年以来11年ぶりに800件を超えた。背景には、人手不足に関連した深刻な影が企業を覆うとともに、物価の高騰も経営を圧迫したことが挙げられている。産業別にみると、多数の人手を要するサービス業や建設業の倒産が5割超を占めている。同社では「今後倒産件数は増加する」とみている。

新NISA、「つみたて投資」平均は47万円  

日本証券業協会が新たな少額投資非課税制度(NISA)の年間利用動向調査で発表によると、1人当たりの平均投資額は、主に投資信託を購入する「つみたて投資枠」が47万3千円で、個別の株式なども運用対象の「成長投資枠」が103万3千円だったことが分かった。購入銘柄の売却について、「つみたて投資枠」が83.2%、「成長投資枠」が75.3%、それぞれ「しなかった」と答えており、多くが売却せずに保有している状況だった。

2024年、世界の防衛費は7%超増加  

英国のシンクタンク「国際戦略研究所」が公表した世界の軍事情勢を分析した報告書「ミリタリー・バランス」で、2024年の世界の防衛費は前年比7.4%増の2兆4600億ドル(約377兆円)だったことが明らかになった。
ロシアのウクライナ侵攻とロシアの脅威に対抗する欧州勢の軍事費増強が背景にある。事実、ロシアの防衛費は国内総生産(GDP)の6.7%あたる1496億ドルに上っており、欧州でもドイツの上昇幅が最も大きい前年比23.2%増の859億ドルに達している。

中国、春節の旅行先首位は「日本」  

中国のオンライン旅行大手「携程集団(トリップドットコム・グループ)」の集計によると、春節(旧正月)の連休(1月28日~2月4日)の海外旅行先ランキングで「日本」が首位だったと発表した。背景に円安や日中関係改善、日本産水産物の輸入再開が挙げられている。中国人訪日客の人気目的地ランキングでは、首位に東京となり、大阪、札幌、京都、名古屋が続いた。また、日本以外の旅行先では、タイ、マーレシア、シンガポールの人気が高かった。

「名探偵コナン」、2024年邦画第1位  

日本映画製作者連盟が発表した2024年映画概況によると、興行収入で邦画が過去最高だったことが分かった。興行収入は邦画興行収入が1558億円となり、興行収入で100億円を超えたのは「名探偵コナン~100万ドルの五稜流星」(158億円)、「劇場版ハイキュー~ゴミ捨て場の決戦」(116億円)の2作だった。一方、洋画は米国で起きた俳優や脚本家のストライキの影響で、前年比約3割減となった。