国際通貨基金(IMF)のゲオルギエワ専務理事はIMF・世界銀行年次総会で「世界経済が低成長・高債務に陥る恐れがあり、各国政府は国民の機会や意欲を向上させることや、気候変動などの課題に取り組む財源を失うことになる」としたうえで、「国民の不満は一層高まる」と警鐘を発した。また、IMFの財政モニターによると、世界の公的債務は今年初めて100兆ドルを超える見込みにあり、公的支出拡大を求め、増税を敬遠する政治的ムードが強まり、債務増加傾向が続くとみている。
財務相の諮問機関である財政制度等審議会は地方自治体に対して歳出改革の徹底を求めた。国が自治体に求めた教員の給与増加を自治体が歳出抑制や業務の合理化で財源を捻出すべきとした。財政審の今回の提言は、地方財政が悪化し、行政サービスを維持する上で、十分な予算を確保できないことを回避する狙いがある。増田会長代理は会見で「地方の人口減少に伴って、行政サービスをこれまでのやり方で維持していくのは難しい」としたうえで、「行政業務の効率化が必要だ」と指摘している。
厚生労働省の人口動態統計によると、新型コロナウイルスの感染上の位置づけが5類に移行後の2023年5月~2024年4月の1年間の死者数は3万2576人に上ることが明らかになった。約97%を65歳以上の高齢者が占め、季節性インフルエンザの約15倍に上る。新型コロナウイルスは次から次へと変異を繰り返して高い感染力を持つ上に、病原性は低下しないことから、基礎疾患のある高齢者が感染しなくなっているとみられる。
総務省は10月の東京都区部の消費者物価指数でコメ類が前年同月比62.3%上昇したと発表した。1971年以来、過去最大の上昇率となった。背景には、2024年産米が肥料や人件費などの生産コスト上昇分が価格に転嫁されたことが挙げられている。コメの価格は今後も高止まりするとみられている。生鮮食品を除く全体の指数は(2000年=100)は107.9となり、前年同月比1.8%上昇したものの、上昇率は9月の2.0%から縮小し、2カ月連続で鈍化傾向にある。
気象情報機関「コペルニクス気候変動サービス」は2024年の世界平均気温がこれまで最高だった2023年の14.98度を上回り、最高を更新することが「ほぼ確実だ」と発表した。1~9月の気温が最高を記録した昨年より高く、10~12月の気温が大幅に低下しない限り最高になるとみている。コペルニクス気候変動サービスでは「気温の上昇に伴って、豪雨のリスクは今後も増し続ける」としたうえで、「早急な温室効果ガスの排出削減」を世界各国に求めている。
国連環境計画(UNEP)は2023年の世界の温室効果ガス排出量は前年比1.3%増の571億トンとなったと公表した。過去最多を更新し、1990年以降、増加傾向に歯止めがかかっていない。パリ協定では気温上昇を産業革命前から1.5度以内に抑える国際的枠組みを合意しているものの、各国が対策を強化しなければ世界の平均気温の上昇幅は今世中に最大3.1度になると指摘している。UNEPは「今すぐ対策を強化し、1.5度目標の実現に全力を尽くすべきだ」と発している。
気象庁の有識者検討会会長を務める中村東大教授は能登半島を襲った豪雨は日本海の海水温が非常に高かったことが記録的な豪雨に影響した可能性があると指摘した。当時、輪島沖の海面水温が例年より4度も高い28度になっていた。中村教授は「海からの水蒸気の供給を受けることで大気の不安定性が保たれ、積乱雲が発達しやすい条件となった」としている。また、日本海は平年より海水温が非常に高い状態が続き、冬に寒気が南下するとドカ雪になる可能性があるとしている。
文部科学省が2001年に生まれた子どもを対象にした追跡調査で、結婚を考えている人の時期は、男女とも「25~29歳」(女性51.5%、男性40.4%)が最多だったことが分かった。一方、「子どもは持ちたくない」との回答した女性は12.3%で、18歳時点の調査から4.8ポイント上昇し、男性も18歳時より1.9ポイント増え、最多となっており、18歳から年齢を重ねるごとに「子どもを持ちたくない」割合が増している。同省では「個人の価値観だ」としている。