社会・経済の動き@しんぶん.yomu第1044号

4~6月期実質GDP、年率6%増に  

内閣府は4-6月期の実質国内総生産(GDP)1次速報で成長率は前期比1.5%、年率換算で6.0%だったと発表した。2020年10-12月期以来の高い伸び率で、実額では過去最高の560兆7401億円となった。成長GDPの大半を占める個人消費は前期比0.5%減となり、3四半期ぶりにマイナスに転じた。ただ、輸出の増加(3.2%増)と輸入の減少(4.3%減)が成長率を押し上げることとなる。エコノミストは「コロナ前の経済規模を超える回復だ」としながらも、「消費はコロナ前水準を回復していない」と先行きへの不透明感を指摘する。

7月全国消費者物価指数、3.1%上昇  

総務省は7月の消費者物価指数は105.4となり、前年同月比3.1%上昇したと発表した。上昇率は6月から0.2ポイント下落したものの、物価上昇率が3%以上となるのは11カ月連続となる。生鮮食料を除く食料は9.2%上昇し、48年ぶりの歴史的な上げ幅が続いている。背景には、原材料高や円安、物流費上昇が響いて食品の値上がりが相次いでいることが挙げられている。上昇が著しいのは、鶏卵(36.2%)、炭酸飲料(16.4%)、宿泊料(15.1%)などとなっている。

全国平均の最低賃金、初の1千円超え  

厚生労働省が発表した各都道府県の審議会が取りまとめた今年度の最低賃金の全国平均は1004円となったことが明らかになった。昨年度から43円増となり、初めて1000円を超えたことになる。引き上げ額と上昇率(4.5%)はいずれも過去最大となる。最も引き上げ額が高かったのは佐賀県で目安額を8円上回っている。最低賃金最高額は東京都の1113円で、最低額は岩手県の893円で、その差は220円となっている。新しい最低賃金は10月1日以降、各都道府県で順次適用される。

政府保有の日本郵政株の一部を売却  

財務省の発表によると、保有する日本郵政株式1億227万3600株を1056億9976万5600円で売却したことが明らかになった。結果、政府が保有する日本郵政株保有比率は33.3%に低下した。日本郵政は5月に3000億円を上限に自社株式取得を決議しており、財務省もこれに対応して保有する1056億円分の日本郵政株を売却するとしていた。郵政株の売却収入は復興財源確保法に基づき東日本大震災の復興財源に充てられる。

上場74地銀のうち40社が減益に  

東京証券取引所などに上場する地方銀行・グループ74社の2023年4~6月期決算によると、全体の半数を超える40社が減益となったことが明らかになった。74社の純利益合計は前年同期比10.1%減の3398億円となった。減益となった背景には、政府による新型コロナウイルス対策の実質無利子・無担保融資(ゼロゼロ融資)が今夏から本格化することから取引先の倒産に備えて計上する与信関係費用が増えたことと、外国債券の売却損を計上したことが挙げられている。

7月訪日客、コロナ禍後で最多の232万人  

政府観光局の推計によると、7月の訪日客は前月比11.9%増の232万600人だったことが明らかになった。新型コロナ禍以後で最多を更新した。8月10日に中国政府が約3年半ぶりに日本への団体旅行を認める決定をしており、訪日客数は今後さらに増えるものとみられる。7月の訪日客を国・地域別にみると、韓国が最多62万6800人で、台湾(約42万人)、中国(約31万人)、香港(約21万人)が続いた。今後、地域経済への波及効果が期待される一方で、混雑や人手不足の懸念も指摘されている。

女性管理職30%超企業は過去最高に  

帝国データバンクの調べによると、女性管理職が30%以上を占める企業の割合は前年より0.3ポイント増の9.8%となったことが分かった。過去最高を更新したものの、依然として1割未満にとどまった。調査では、新型コロナからの経済回復で人手不足に陥る企業も多く、本業に集中したことで女性活躍に関する対応に手が回らなかったとの声も聞かれた。政府は、東証プライム市場に上場する大手企業を対象に、2030年まで女性役員の割合を30%以上にするとの目標を掲げている。

サンマ初水揚げ、1匹当たり1万6800円  

北海道根室市の花咲港でサンマ棒受け網漁の小型船によるサンマの初水揚げがあり、1キロ当たり14万400円の過去最高値を付けた。昨年の1キロ当たり5万4千円を大幅に上回り、1匹換算にすると約1万6800円になり、もはや庶民の魚は〝高級魚〟化している。昨年の全国のサンマ水揚げ量は1万7910トンで、ピークだった2008年の約19分の1になっている。水産庁は7月に今年の道東から常磐海域の8~12月は「低水準」と長期予報を発表している。

社会・経済の動き@しんぶん.yomu第1043号

生産額ベースの食料自給率、過去最低  

農林水産省が発表した2022年度の食料自給率によると、カロリーベースの食料自給率は前年度と同じ38%だった。生産額ベースの自給率は過去最低の58%で、国際的な穀物価格の上昇や円安による輸入額が増えたことが起因している。また、同省は2021年度の都道府県別の食料自給率も発表しているが、カロリーベースで北海道が223%で5年連続首位となり、秋田県、山形県が続いた。食料自給率は、食生活の変化からコメの消費量が減少する一方、畜産物の消費が増加し、下落傾向が続いている。

2023年度の国民負担率は46.8%  

財務省の発表によると、2023年度の国民負担率は46.8%を見込んでいることが明らかになった。国民負担率は、国民全体の所得総額である国民所得に対する税金と社会保険料の支払い負担の割合を示すもので、1970年代は約20%台で推移していたことを考えると、大きく負担が増していることになる。財政赤字を加えた「潜在的国民負担率」は53.9%と5割を超えている。国民負担率を諸外国と比べると、米国が30%台、英国が40%台、ドイツやフランスなどの欧州各国は50%を超えている。

5割近くの企業で「人手不足感」  

共同通信社が主要企業114社を対象にしたアンケート調査で人手不足感を尋ねたところ、49%の企業が「人手不足」「やや不足」と答えていることが分かった。人手が「過剰」「やや過剰」と答えた企業は2%にとどまった。このため、企業における対策では「新卒採用の拡大」が47%、「外国人労働者の受け入れ」が18%と採用を重視して取り組む姿勢を上げた。また、「賃金の引上げ」(38%)、「福利厚生の改善」(16%)も挙げられたが、採用重視の企業の姿勢が色濃く表れている。

60歳~74歳の5割超、就労できず  

リクルートの調査によると、60~74歳の就労希望者で過去5年間の就職活動を尋ねたところ、53%が仕事探しをしても仕事が見つかっていないことが分かった。内訳をみると、「仕事が見つからずに探している」が24.0%、「見つからずにやめた」が21.8%、「仕事探しを羽占めたばかり」が7.9%となっている。一方、企業に高齢者の正社員採用に対する姿勢を尋ねたところ、66.5%が「積極的ではない」と答え、高齢者採用に及び腰な姿勢がみられた。

約1か月半ぶりに円安、1ドル=145円  

8月11日、ニューヨーク外国為替市場で円売り・ドル買いが強まり、1ヵ月半ぶりに1ドル=145円台に下落した。今年最安値となった背景には、米長期金利が一段と上昇するとの観測から市場で円売り・ドル買いが進んだ。同日、米労働省が発表した7月の卸売物価指数は前年同月比0.8%上昇し、変動が著しいエネルギーや食料品を除いたコア指数は2.4%上昇し、米連邦準備制度理事会(FRB)による長期金利利上げを打ち止めるとの予測が大きく後退したことが挙げられている。

6月の実質賃金、15ヵ月連続のマイナス  

厚生労働省が発表した毎月勤労統計によると、6月の名目賃金を示す現金給与総額は46万2040円で、前年同月比2.3%増となり、18ヵ月連続でのプラスとなった。一方、労働者が受け取った給与から物価変動の影響を差し引いた実質賃金は前年同月比1.6%減少し、15ヵ月連続でのマイナスとなった。物価の上昇に賃金の伸びが追いついていない実情にある。消費者物価指数は前年同月比3.9%上昇し、名目賃金を上回っている。

タクシー乗務員、コロナ禍前より2割減  

全国ハイヤー・タクシー連合会が全国60地域での法人タクシー乗務員数の推移を集計したところ、6月末時点での総数は23万2902人で、新型コロナ禍前の2019年3月末時点から約6万人近く減少していることが明らかになった。コロナ禍で利用客が減り、乗務員の離職者が増加したことが背景にあり、最近では利用客の回復に伴い、乗務員の人手不足が課題となっている。最も乗務員の減少率が大きかったのは鳥取県の28.2%で、北海道の都市部で26.2%が続いている。

お忘れなく、来年4月相続登記が義務化  

不動産登記法などの一部が改正され、2024年4月から土地・建物の相続登記が義務化され、手続きを怠った場合は10万円以下の過料が課されることになる。義務化の背景には、高齢化の進展から持ち主が不明だったり、連絡がつかないという「所有者不明」の増加が挙げられている。相続登記の義務化により所有者不明の土地を減らすとともに、土地の有効活用する狙いが挙げられている。義務化されたされたことで、相続人は不動産の取得を知った日から3年以内に登記をしなければならないことになる。

社会・経済の動き@しんぶん.yomu第1042号

IMF、世界経済成長率を3%に上方修正  

国際通貨基金(IMF)は2023年の世界全体の実質経済成長率を4月時点の予測から0.2ポイント上昇の3.0%とする予測を発表した。上方修正の背景には、1~3月期の消費が堅調だったことに加え、米国での銀行破綻による金融不安が後退したことが挙げられている。新型コロナ禍前の2000~2019年は平均3.8%の成長率だったが、回復には時間を要するとしている。日本については0.1ポイント上方修正の1.4%と見込んでいる。ただ、2024年は景気対策の効果が薄らぐとして1.0%の成長率が見込まれている。

ガソリン価格、11週連続で値上がり  

経済産業省の発表によると、7月31日時点でのレギュラーガソリン全国平均小売価格は1リットルあたり176円70銭だった。11週連続での値上がりで、15年ぶりに176円となった。原油価格の上昇に加え、国が給付している補助金の補助率が6月以降段階的に引き下げられていることが背景にある。今後も補助率の引き下げからガソリン価格は引き続き値上がりすることは避けられず、物流を中心にした企業のコスト価格上昇は避けられない。

がんの経済負担、1兆円は予防の可能性  

国立がん研究センターは、がんが社会に与える経済的負担は年間約2兆8600億円だったとの推計結果を発表した。そのうち、約1兆円は「禁煙やワクチン接種などの予防対策を行えば、経済的な負担の軽減も期待できる」との推計している。研究チームが2015年に国内で治療を受けたがん患者約400万人について、医療費と欠勤・死亡に伴う労働損失を推計したもの。このうち、禁煙や感染などの予防策があるがんによる経済的負担は約1兆200億円だとしている。

男性の育休取得、目標に及ばない17%  

厚生労働省の2022年度雇用均等基本調査によると、男性の育児休業取得率は17.13%だったことが分かった。前年度比3.16ポイント増と10年連続で上昇しているが、政府が掲げる「2025年度までに男性の育休取得率50%」の目標には遠く及ばない状況にある。事業の規模別にみると、500人以上は25.36%だったが、5~29人は11.15%と、小さいほど取得率は低くなっている。

ふるさと納税、3年連続で最高を更新  

総務省の発表によると、ふるさと納税制度に基づく自治体への寄付総額は前年度比16.8%増の9654億円になった。3年連続で過去最高を更新したことになる。制度の浸透とともに、物価高で家計のやりくりが苦しくなり、日用品や食品といった返礼品を得るための利用が増えたと同省では見ている。寄付件数は過去最多となる5184万件だった。2022年度に寄付を集めた市町村は宮崎県都城市の196億円、北海道紋別市の194億円、北海道根室市の176円が続いた。

農林水産物、上半期としては過去最高  

農林水産省は2023年上半期(1~6月)の農林水産物・食品の輸出額は7144億円だったと発表した。前年同期比9.6%増で、上半期としては過去最高を更新した。コロナ禍による行動制限の緩和で、外食機会が増えた中国や香港を中心に水産物の需要が回復したことが背景にある。国・地域別では中国が1394億円、香港が1154億円で続いた。ただ、中国は8月に予定されている東京電力福島第一原発処理水の海洋放出計画に反対し、7月から放射能物質検査を強化しており輸出額の伸びが危惧されている。

7月の平均気温、過去最高を更新  

気象庁は7月の平均気温は統計を開始した1898年以降で最も高くなったと発表した。平年を示す基準値(1991~2020年の平均)を1.91度上回り、これまで最高だった1978年のプラス1.51度で45年ぶりに更新したことになる。気象庁では地球温暖化やエルニーニョの影響で今後も全国的に高温となるとしたうえで、「8、9月は猛暑日が増える可能性があり、残暑も厳しい恐れがある。熱中症対策など体調管理に気を付けて欲しい」と呼び掛けている。

大企業の3割、10割全員出社が理想  

日本政策投資銀行が行なった2023年設備投資計画調査で、理想的な出社率を尋ねたところ、大企業の32%が「10割全員出社」と答えていることが明かになった。「9割出社」が15%、「8割出社」が20%となっている。新型コロナウイルス禍でリモート勤務が広がったが、新型コロナの5類移行に伴い、社員全員の「完全出社」を望む企業が前年度の24%から増えていることが浮き彫りとなった。「9割出社」「8割出社」と答える企業も前年度から増えている。

社会・経済の動き@しんぶん.yomu第1041号

日銀、長期金利の上限を0.5%程度に  

日銀は7月28日の金融政策決定会合で、長期金利の上限について0.5%程度をめどとし、市場の動向次第では1%まで上昇することを容認することを決定した。植田日銀総裁は会見で「1%まで上昇することは想定していないが、念のための上限として1%とした」と述べた。これに先立つ7月26日、米連邦準備制度理事会(FRB)は政策金利のフェデラル・ファンド(FF)金利を0.25%引き上げ5.25~5.50%とすることを決定しており、日米の金利差からドル買い円売り(円安)が一段と加速する懸念がある。

2025年度財政収支、1.3兆円の赤字  

内閣府は中長期の経済財政試算で2025年度の国・地方の基礎的財政収支(プライマリーバランス)は成長率が徐々に高まる状況下でも1.3兆円の赤字に陥ると公表した。試算では、日本経済の実質成長率がゼロ%半ばの「ベースライン」と、2%程度に高まる「成長率実現」の2ケースで試算しているが、ベースラインのケースでは2025年度に1.3兆円の赤字となり、2032年度まで赤字が続くと試算している。なお、2つのケースには少子化対策の財源などは織り込まれてはいない。

最低賃金、全国平均1002円に引き上げ    

厚生労働省の中央最低賃金審議会小委員会は最低賃金(時給)を全国加重平均で4.3%(41円)引き上げる1002円とする目安をまとめた。昨年の3.3%(31円)を上回る過去最大の引き上げ額となるとともに、時給額が1000円を初めて突破したことになる。この目安は47都道府県を経済情勢に応じてAからCまでのランクごとに明示し、今回、時給額はランクに応じた都道府県別に41~39円の引き上げが明示された。これを基に各都道府県が実際の引き上げ額を決定し、秋に改訂される。

WMO、異常気象は「新たな日常に」  

世界気象機関(WMO)は世界が命に危険が及ぶ熱波や豪雨の猛威に晒されている事態に対し、「地球温暖化の影響で異常気象の頻度は増しており、〝新たな日常〟になりつつある」との声明を発表するとともに、強く警鐘を鳴らした。また、これを受けてグテレス国連事務総長は「地球温暖化の時代は終わり、地球沸騰化の時代が来た」との警告を発するとともに、各国や企業に対し、温暖化対策を加速するよう強く訴えている。

日本人人口、1968年以来最大の減少に  

総務省は住民基本台帳に基づく人口動態調査で今年1月1日時点での外国人を含む総人口は前年比約51万1千人減の1億2541万6877人だったと発表した。日本人に限定すると約80万1千人の減少の1億2242万3038人となり、減少は総人口調査を開始した1968年以降で最大を更新した。また、47都道府県の全てで前年から減少していた。出生数は過去最少の約77万2千人だったのに対し、死亡数は約156万5千人となり、出生数を大きく上回った。

日本人の平均寿命、2年連続で縮む  

厚労省の調査によると、2022年の日本人の平均寿命は女性が87.09歳、男性が81.05歳だったことが分かった。前年と比べると、女性がマイナス0.49歳、男性がマイナス0.42歳となり、男女ともに2年連続で短くなっている。同省は男女ともに平均寿命が短くなったことについて「新型コロナウイルスの影響が大きかった」と分析したうえで、「今後も下がり続けるとは考えていない」として、平均寿命は一時的で今後は従前のように延びるものとみている。

郵便ポスト投函、1か月30通以下が25% 1ヵ月投函、30通以下が  

日本郵便の調査によると、1ヵ月当たりの投函数が30通以下の郵便ポストは全国で約25%を占めていることが明かになった。ポストから郵便物を集める担当者に1カ月当たりの平均的な投函数を聞き取ったもので、ほぼ利用されていない「0~1通」が3.9%、週に1通程度の「2~9通」が7.0%、数日に1通の「10~19通」が7.4%、毎日1通程度の「20~30通」が6.9%だった。円だった。日本郵便は過疎地も含めポストからの郵便物の収集を行っており、維持コストが課題となっている。

認知症患者、2年後には730万人に  

厚生労働省の研究班の推計によると、全国の認知症の患者数は2025年に約730万人になることが明かになった。65歳以上の20.6%に当たり、5人に1人が認知症になることになる。今国会で成立した「認知症基本法」では「認知症に関する専門的・学術的・総合的な研究を推進する」を掲げ、「認知症対策は日本の新たな国家プロジェクト」として取り組んでいくことを示している。日本の製薬メーカー「エーザイ」が米企業と共同開発した「レカネマブ」が日本でも早期承認されることが期待される。

社会・経済の動き@しんぶん.yomu第1040号

6月の消費者物価指数、3.3%上昇  

総務省が発表した6月の全国消費者物価指数(2022年=100)は前年同月比3.3%上昇の105.0だったことが分かった。22ヵ月連続で前年同月を上回っている。背景には食料や日用品の値上げに加えて、6月の大手電力が実施した規制料金の引き上げが挙げられている。一方、内閣府が経済諮問会議に示した2023年度の消費者物価指数は前年度比2.6%上昇するとの予測を示しており、岸田首相は「国民生活への影響を見極めつつ国民目線に立った対応を進める」と物価高に対処する姿勢を示した。

6月貿易収支、23ヵ月ぶりに黒字に  

財務省は6月の貿易統計で輸出から輸入を差し引いた貿易収支は430億円の黒字だったと発表した。黒字は2021年7月以来23か月ぶりとなる。黒字の背景には、エネルギー資源価格が落ち着き、輸入額が減少したことと併せ、半導体不足が緩和したことから自動車生産が進み輸出が拡大したことが挙げられている。また、同時に発表された2023年上半期(1~6月)の貿易収支は6兆9604億円の赤字だったが、前年同期と比べ赤字額は12.9%減少し、2021年下半期から続いた貿易収支の悪化状況に一服感がみられた。

6月のインバウンド客、207万人に  

日本政府観光局(JNTO)の発表によると、6月の訪日外国人客(インバウンド)は207万3300人だったことが分かった。新型コロナウイルスの感染拡大前の2019年同月比で72%まで回復し、200万人を超えるのは2020年1月以来3年5か月ぶりとなる。円安を追い風に東南アジアや米国、豪州からの訪日客はコロナ前を上回ったものの、コロナ前に訪日客の3割を占めていた中国は約21万人にとどまった。

高騰し続けるガソリン価格、174円/ℓに  

経済産業省は7月18日時点でのレギュラー1リットル当たりの全国平均小売価格は174円だったと発表した。9週連続での値上がりで、昨年6月以来13か月ぶりの高値となった。政府が価格抑制のために石油元売り会社に価格抑制のために支給している補助を6月以降、段階的に縮小していることが挙げられている。主要産油国が追加減産していることに加え、7月21日の外国為替市場での円相場は1ドル=141円台の円安水準となり、今後もガソリン高騰は続くとみられる。

働く女性は過去最多の3035万人  

総務省は2022年就業構造基本調査で、就業者のうち女性は3035万4千人だったと発表した。前回調査の2017年時点から121万5千人増え、過去最多を更新している。女性の就業率も過去最高となる53.2%だった。一方、就業する男性は5年前の調査時点から微減の3670万6千人となり、男女就業者の合計は過去最多の6706万人だった。未就学児の育児をしながら働いている人は85.2%に上り、2012年以降で最高となった。

上半期の刑法犯、21年ぶりに増加  

警察庁のまとめによると、今年1~6月の上半期に全国の警察が認知した刑法犯は前年同期比21.1%増の33万3003件だったことが明らかになった。上半期でみると、21年ぶりの増加で、同庁では「街頭犯や侵入犯罪などの増加が目立ち、新型コロナウイルス禍での行動制限が緩和されたことが要因だった」と分析している。侵入犯罪には、交流サイト(SNS)上で実行犯を募集する「闇バイト」による強盗も含まれている。

ネットショッピング支出額、過去最高に  

総務省統計局の「2022年家計消費状況調査年報」で、ネットショッピング支出額は1か月平均で2万810円とだったことが分かった。前年比11.1%増の2ケタの伸びで調査開始の2002年以降で最高となった。ネットショッピングで大幅に伸びたのは「旅行関係費」(95.1%増)や「チケット」(73.0%増)だった。支出額が最も多かったのは「食料」で前年比16.4%増の4643円だった。また、世帯主の年齢階級別では、40歳未満が前年比11.9%増の3万741円で最も多かった。

ヘルパンギーナ、過去10年間で最多  

国立感染研究所によると、7月9日までの1週間に全国約3000の小児科の医療機関で「ヘルパンギーナ」と診断された患者の数は2万2980人となり、1医療機関当たりの患者数は7.32人となり、警報レベルとされる「6」を上回ったことが明かになった。3週間連続で過去10年間の最多を更新した。「ヘルパンギーナ」は子供がかかりやすい代表的な夏かぜの一つで、4歳くらいまでの乳幼児がかかりやすいウイルス性の感染症で、38度以上の発熱や、口の中に水膨れなどの症状が出るとされている。

社会・経済の動き@しんぶん.yomu第1039号

EU、8月上旬に日本産食品輸入規制撤廃  

欧州連合(EU)は2011年の東京電力福島第一原発事故後に福島県など10県の一部食品を対象に義務付けてきた放射能物質の検査証明書を不要とするなど、日本産食品に課してきた輸入規制を撤廃すると発表した。EU内での手続きを経て、早ければ8月上旬にも撤廃される見通しとなった。輸入規制は福島や宮城など10県を対象とし、これまで規制品目を段階的に縮小してきており、現在は福島県の水産物の一部や野生のキノコ類などに検査証明を求めてきている。

5月経常収支、前年同月比2.4倍の黒字  

財務省は5月の国際収支速報で経常収支は前年同月比2.4倍となる1兆8624億円の黒字だったと発表した。黒字は4か月連続で、背景に資源価格の高騰が一服したことで輸出から輸入を差し引いた貿易赤字幅が縮小したことが挙げられている。また、訪日外国人の増加により旅行収支の黒字が拡大したことも寄与したものとみられている。貿易収支の赤字幅は1兆1867億円で7514億円縮小したものの、輸出は最大の貿易相手国の中国の経済の低迷から2.8%減となり、今後、黒字額の伸びが縮小するとみられている。

2023年飲食料品の値上げ、3万品目超  

帝国データバンクの発表によると、7月中旬までに判明した2023年の飲食料品の値上げ品目は3万9品目に上ることが明かになった。同社では「バブル崩壊以後の30年間でも異例で、2022年の2万5768品目を超えて過去最大級の値上げラッシュになる」とみている。原材料由来の値上げは一服感があるものの、足元で上昇が続く電気代の先行きに加え、人件費の上昇、円安による輸入物価の上昇などの値上げ要因があり、「年末から2024年初頭も断続的な値上げの動きが続く」とみている。

中古車登録台数、過去最低に  

日本自動車販売協会連合会の発表によると、2023年上半期(1~6月)の国内の中古車登録販売台数(軽自動車除く)は181万1137台だった。前年同期比0.6%減で上半期としては2年連続で過去最低を更新した。半導体の調達難から新車販売が制限されたことから、下取りで中古車市場に出回る車の数が不足したことが背景にある。需要が堅調だったにも関わらず、中古車供給が追い付かずに価格は高水準で推移した。

2022年度地方税収、最高の45兆円  

総務省が発表した自治体決算に基づく速報値によると、2022年度の地方税収は前年度比4.4%増の45兆1886億円だったことが分かった。2年連続で過去最高を更新したことになり、新型コロナウイルス禍から一転して回復基調になったことで企業業績が好調となり、税収を押し上げたとみている。税収の内訳をみると、地方法人2税(住民税・事業税)は9兆1160億円、地方消費税は6兆4151億円、固定資産税は9兆5396億円、個人住民税は13兆5529億円などとなっている。

日本の女性役員比率はG7で最下位  

経済協力開発機構(OECD)の2022年の国際比較で日本の女性役員比率は15.5%で先進7カ国(G7)の中では最下位だった。首位のフランスの45.2%から大きく引き離され、日本の順位から一つ上のアメリカの31.3%の半分程度だった。政府は「女性版骨太の方針2023」で、東京証券取引所プライム上場企業の役員について、2025年をめどに女性を1人以上、そして2030年までに女性比率を30%以上とする目標を掲げている。昨年7月末時点で東京証券取引所プライム上場企業のうち女性役員比率が30%を超える企業は2.2%にとどまる。

都市評価ランキング、3連続で大阪が首位  

森ビルのシンクタンクである「森記念財団」が経済や生活、交通などの6分野・86指標を基に、全国136都市の順位づけた都市ランキングで首位には3年連続で大阪市が選出された。大阪市は経済、交通の2つがトップだった。2位は横浜市、3位は名古屋市が続き、横浜市は文化の評価が上昇し、名古屋市は研究が首位となっている。また、4位となった福岡市は環境以外の5分野がいずれも上位で「高い総合力がある」と評価された。

生成AIの進化、76%が「仕事奪う」と危惧  

転職などの相談サービスを行うライボの調査機関「Job総研」が全国の20~50代の男女を対象にした調査で、チャットGPTのように精巧な文章や画像を作成する生成人工知能(AI)が進化すると、76.9%人が「人間の仕事が奪うと思う」と答えていることが分かった。生成AIへの評価を尋ねたところ(複数回答)、最も多かったのは「興味」(76.4%)で、「期待」(69.4%)が続いたが、「不安」(20.7%)、「恐怖」(15.0%)の声も上がった。

社会・経済の動き@しんぶん.yomu第1038号

IAEA、原発処理水放出は基準に合致  

国際原子力機関(IAEA)は東京電力福島第一原発の処理水の海洋放出に関して、「放出計画は国際的な安全基準に合致する」との包括報告書を発表した。この報告書を経て、政府が「夏ごろ」としていた放出開始の具体的な時期の検討に入ることになる。また、処理水の海洋放出計画を巡り、原子力規制委員会は東電が放出設備の使用前検査に「合格」したことを示す終了証を交付する決定をした。地元業関係者をはじめ海洋放出には反対が根強く、理解が進展するかどうかが今後の焦点となる。

景況感、1年9ヵ月ぶりに改善  

日銀は6月の企業短期経済観測調査で、大企業製造業の業況判断指数(DI)が前回調査の3月時点から4ポイント上昇のプラス5となったと発表した。1年9ヵ月ぶり(7四半期)に改善した。背景には、半導体不足が緩和したことで自動車の精算が回復したことに加え、原材料価格の上昇が一服したことが挙げられている。一方、大企業非製造業のDIは3ポイント上昇のプラス23となり、依然好況を維持している。3か月後の先行きについては、大企業製造業は4ポイント上昇のプラス9を見込み、大企業非製造業は3ポイント下落のプラス20を見込んでいる。

春闘での賃上げ率は3.58%  

連合が2023年春闘での傘下労働組合の賃上げ要求に対する企業側回答の最終集計によると、平均賃上げ率は3.58%だった。29年ぶりの3%台となり、月額では平均1万560円の上昇となった。ただ、総務省が発表した5月の全国消費者物価指数は前年同月比3.2%の上昇で、今回の賃上げが家計の安定につながるか不透明感が残る。また、連合の集計によると、中小企業での賃上げ率は3.23%だったが、原材料や光熱費の高騰で苦しい経営を強いられた向きでは賃金を据え置いた会社も少なくない。

個人株主、過去最高の6982万人  

東京証券取引所など全国の4証取の発表によると、2022年度の上場会社の個人株主が延べ人数で6982万人になった。前年度比521万人の増で、9年連続で過去最高を更新した。日本株の上昇から株取引を始める個人が増えたことが背景にある。東証担当者は「少額投資非課税制度(NISA)の活用が定着してきた」とみている。個人の人数は延べ人数で発表しており、個人が1人で10銘柄を保有する場合、個人株主は10人と数えている。

2023年路線価、全国は1.5%上昇  

国税庁が発表した2023年分の路線価(1月1日時点)は全国の平均変動率は前年比1.5%のプラスとなり、2年連続で上昇となった。都道府県別にみると、2023年分で上昇したのは25都道府県で、下落は20県だった。また、都道府県の県庁所在地の最高路線価では上昇が前年の15都市から29都市に大幅に増加して、インバウンド(訪日客)需要の大きい商業地の回復が鮮明となっている。全国の最高価格は38年連続で東京都中央区銀座5丁目の鳩居堂の1平方メートル当たり4272万円だった。

子供世帯数、初めて1千万世帯割れ  

厚生労働省が発表した2022年国民生活基礎調査結果によると、児童(18歳未満の未婚者)がいる世帯数は991万7千だったことが分かった。1千万世帯を下回るのは初めてで、全世帯に占める割合も過去最低を更新する18.3%だった。高齢者世帯は1693万1千で、全世帯に占める割合は31.2%だった。また、単独世帯も1785万2千に増えている。さらに、同居家族らによる介護では介護を受ける人と世話をする人の世帯がともに65歳以上の「老々介護」が63.5%で過去最高を更新した。

米アップルの時価総額、世界初の3兆ドル  

米アップルの時価総額が6月30日の終値で3兆ドル(約430兆円)となった。終値で3兆ドル突破は世界の上場企業で初めてとなる。日本企業の最高となるトヨタ自動車(約37兆6千億円)の約11倍となる。アイフォーンを中心に、アプリからコンテンツ配信まで行う「アップル経済圏」の拡大により、さらに成長が続くものとみられている。米ウェドブッシュ証券は「時価総額は2025年までに3兆5千億ドル、強気にみれば4兆ドルになる」とみている。

上半期、飲食業倒産は過去30年間で最多  

東京商工リサーチの調査によると、2023年上半期(1~6月)の飲食業倒産は424件となり、上半期としては過去30年間で最多となったことが分かった。同社によると、「コロナ禍で休業・時短協力金や各種支援金などの手厚い支援に支えられたものの、その後は売り上げが戻らず、電気・ガス料金の値上げや物価高、人件費上昇で苦境が鮮明になってきた」としている。資本金別では個人企業を含む「1千万円未満」が最多の364件で、小・零細企業が目立っている。

社会・経済の動き@しんぶん.yomu第1037号

食品値上げ、原料高で3万5千品目に  

帝国データバンクの予想によると、2023年の食品の値上げは3万5千品目に達し、2022年通年での値上げされた2万5768品目を大きく上回る見通しにあることが明らかになった。原材料高と円安の進行により輸入物価が押し上げられたことに加え、その分の価格転嫁が進むとみている。同社では「現在のような円安水準が半年も続けば、来年夏にかけて値上げの動きが再び進む」とみている。食品値上げは3年目入りで、同社では「2023年度の家計負担は1世帯当たり前年度比9万円増える」とみている。

日銀の国債保有割合、最大を更新  

日銀は2023年1~3月期資金循環統計で、日銀が保有する国債は576兆643億円だったと発表した。今年3月末時点での国債発行残高は1079兆9593億円で、日銀が53.34%を保有していることになり、過去最大を更新した。日銀の前総裁が就任した2013年3月末時点での保有比率は11.55%だったが、大規模な金融緩和政策から市中から国債を買い上げたことから、この10年間で約4.6倍にまで膨らんでいる。一方、家計が保有する金融資産の残高は過去最大となる2043兆円だった。

国民年金納付率は11年連続での上昇  

厚生労働省は2022年度国民年金の保険料納付率は76.1%だったと発表した。11年連続で前年度を上回った。納付率上昇の要因について同省は「督促の強化やスマートフォンの決済アプリによる納付の導入などによる対策を講じた結果だ」としている。一方、所得が低いことなどから保険料の納付を全額免除・猶予されている人は2022年度末時点で606万人となり、前年度から6万人減少しているものの、過去3番目の多さとなっている。都道府県別にみると、納付率が最も高かったのは島根(86.8%)で、最も低かったのは大阪(69.2%)だった。

消費者心理、0.2ポイント上昇の36.2  

内閣府は6月の消費動向調査で向こう半年間の消費者心理を示す消費者態度指数(2人以上世帯)は前月比0.2ポイント上昇の36.2だったと発表した。4ヵ月連続で改善しており、内閣府担当者は「賃上げが進んでいるためではないか」とみている。1年後の物価見通しについては、93.2%が「上昇する」とみており、上昇率を半数を超える53.4%の人が「5%以上」とみている。

EU、日本産食品の輸入規制を完全撤廃  

欧州連合(EU)欧州委員会は2011年の東京電力福島第一原発事故に伴って日本産食品の輸入規制を完全撤廃する方向で最終調整していることをEU関係者が明らかにした。今年7月末に公表される見通しで、欧州委員会はモニタリング検査などの科学的知見に基づき規制を撤廃するのが妥当と判断している。2023年時点で輸入規制を行っているのはEUを含め12カ国・地域で、欧州27カ国が加盟するEUが規制撤廃することで、規制を維持している中国をはじめとする国々の対応に焦点が集まる。

日本の競争力は世界35位に  

スイスの国際経営開発研究所(IMD)は2023年版世界競争力ランキングによると、日本の競争力はランクを前年から1つ下げて世界35位であることが明らかになった。IMDは世界の主要64カ国・地域を対象に「経済実績」「ビジネスの効率性」「政府の効率性」「インフラ」の4項目で競争力を評価している。日本は「ビジネスの効率性」を除く3項目で前年から順位を落としている。2023年の首位は2年連続でデンマークとなった。アジアでの最高位は世界4位のシンガポールだった。

食物アレルギーの子どもは52万人に  

公益社団法人日本学校保健会が全国の公立の小中学校と特別支援学校、義務教育学校、中等教育学校を対象に調査したところ、食物アレルギーのある児童生徒が52万6705人いることが分かった。9年前の前回調査時点から約12万人増加しており、激しいアレルギー症状「アナフィラキシー」を起こしたことのある児童生徒も前回調査から約8千人増えていた。他方、アナフィラキシーなどを想定した緊急対応の模擬訓練を実施した学校は26.8%にとどまっていた。

体育でのマスク、68%が「外したい」  

国立成育医療研究センターの調査によると、小学6年~高校2年生の68%が体育の授業中にマスクを「外したい」と思っていることが分かった。実際に「外す」は49%にと止まっていた。新型コロナウイルス対策としてのマスク着用は3月13日から着用基準が緩和され、屋内外を問わず「個人の判断」とされた。マスクを着けたい理由を尋ねたところ(複数回答)、「安心する」(47%)、「みんながしている」(44%)が挙げられた。

社会・経済の動き@しんぶん.yomu第1036号

2022年度税収、過去最高を更新見込み  

2022年度の国の一般会計の税収が過去最高を3年連続で更新する見通しにある。年度税収は3月期決算法人の法人税や消費税など確定する5月分を加えた上で確定するが、4月末時点で既に61兆5325億円となっており、過去5年間を見ると5月分は8~10兆円増えており、年度税収は70兆円台に上る可能性が高い。法人税や消費税が伸びており、2022年度補正後予算で税収は65兆2350億円と見込んでおり、決算では大きく上回りそうだ。

米金利、FRB議長「利上げ年内にあと2回」  

米連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長は米議会下院金融委員会の公聴会で先に公表した「年内にあと2回の利上げが必要となるとの見通し」について、「かなり的確な予測だ」としたうえで、米国内での物価抑制に向け利上げの取り組みは途上にあるとの見解を示した。米国が物価安定のために、あと2回は利上げ実施となれば、日本銀行は金融緩和政策を堅持していることもあるだけに、円売り・ドル買いが進み、一段の円安ともなり、輸入に頼る原材料・エネルギーなどの高騰を招きかねない。

中小企業の21%が価格転嫁「全くできず」  

中小企業庁が今年4~5月に中小企業の価格転嫁状況について調査したところ、価格交渉に応じないなど「全く転嫁できない」が21.4%に達していた。昨年9~11月に実施した調査と比べ、5.1ポイント上昇していた。他方、「10割」か「7~9割」転嫁できた企業は39.3%あり、価格転嫁の二極化状況がみられた。また、原材料などのコスト上昇分のうち、価格に転嫁できた割合を「価格転嫁率」として集計したところ、47.6%となり、前回調査より0.7ポイント改善していた。

生成AI活用、企業の6割が前向き  

帝国データバンクが企業を対象に、文章や画像を自動で作成する生成AI(人工知能)の活用を尋ねたところ、「業務で活用している」(9.1%)、「活用を検討」(52.0%)と答え、6割超の企業が前向きな姿勢であることが分かった。生成AIを活用しているのは大企業が13.1%、中小企業が8.5%で、規模の大きい企業での利用が進んでいることを浮き彫りにしている。同社では「ビジネスでの活用には、もう少し時間がかかりそうだ」としている。

農水省、鳥インフル「清浄化」を宣言  

農林水産省は昨年10月以降に26道県の養鶏場などで確認された鳥インフルエンザの感染に関して、ウイルスが国内の農場からなくなったことを意味する「清浄化」を宣言した。同省は農場での防疫措置が4月14日までに完了するとともに、新たな発生が確認されたなかったことから国際獣疫事務局(OIE)の規定に基づき宣言の書類を提出し、OIEは5月13日に正常化したとの日本の宣言をウェブサイトに掲載した。鳥インフルエンザの感染で約1771万羽が殺処分されたことから、鶏卵価格が上昇し続けていた。

日本の男女格差125位、先進国で最下位  

スイスのシンクタンクである世界経済フォーラムが発表した各国の男女平等度を順位付けした「男女格差(ジェンダー・ギャップ)報告」によると、日本は調査対象の146カ国中125位だったことが明らかになった。2022年の116位から後退して過去最低順位となった。先進国7カ国(G7)ではイタリアの79位に大きく引き離され、最下位となった。報告は政治、経済、教育、健康の4分野で男女参画に平等度を指数化して順位付けしており、日本は政治が138位、経済でも123位などとなっている。

1万円札など新紙幣は2024年7月に発行  

財務省と日本銀行が2024年7月に新1万円札をはじめとする新紙幣を発行することが明らかになった。財務省は2019年に1万円、5千円、千円の3種類の紙幣のデザインを2024年上期(4~9月)に発行するとしていたが、7月に市中に出回ることとなった。新1万円札は渋沢栄一、新5千円札は津田塾大学創設者の津田梅子、新千円札は細菌学者の北里柴三郎がそれぞれの図柄として登用される。デザインが一新されるのは20年ぶりとなり、新紙幣には世界初の偽造防止技術が採用されている。

結婚セレモニー費用、6割が100万円以内  

結婚情報サービスのタメニーが20~59歳の未婚男女を対象にした調査で、約6割が結婚式セレモニー総額予算は100万円以内に収めたいと考えていることが分かった。結婚式などのセレモニーに関しては、「開きたくない」(26.1%)、「開きたい」(22.5%)、「どちらとも言えない」(17.6%)と意向が分かれた。セレモニー費用では「100万円未満」が最多の59.6%で、次いで「100万円以上200万円未満」(19.6%)が続いた。

社会・経済の動き@しんぶん.yomu第1035号

1ドル=141円、7か月ぶりの円安水準に  

6月15日、東京外国為替市場での円相場は1ドル=141円50銭を付け、昨年11月以来、約7か月ぶりの円安ドル高水準となった。米連邦準備制度理事会(FRB)が利上げを年内にあと2回の実施継続する可能性を示したのに対し、日銀は大規模な金融緩和策を継続するとしており、その方向性の違いから円を売ってドルを買う動きが広がったことが背景にある。また、対ユーロでも、一時1ユーロ=153円台となり、約15年ぶりの円安ユーロ高となった。

防衛財源法が成立、税外収入確保が課題  

6月16日、参院本会議で防衛費増額の財源を確保する特別措置法が成立した。2023年度予算に計上した4兆5919億円の税外収入を複数年度にわたって活用する枠組みの創設を規定しているが、税外収入などを複数年度にわたり安定的に確保できるか、不確実な点が指摘されている。政府は2023~27年度の5年間で防衛費に総額約43兆円を投じる計画だが、増額分の財源は特別会計からの繰り入れなどによる税外収入、税収の上振れなどの決算剰余金、歳出改革、増税の4つを財源とすることが法律に明記されている。

5月貿易赤字、前年同月比42%減  

財務省は5月の貿易統計で貿易収支は1兆3725億円の赤字だったと発表した。22ヵ月連続での赤字となったが、赤字額は前年同月比42.0%減となった。原油高が一服したことで原油輸入額は9.9%減となったことで、赤字額は縮小した。輸入額は2カ月連続で前年水準を下回り8兆6651億円となり、輸出額は27ヵ月連続で前年実績を超えて7兆2926億円だった。ただ、足元では円安が加速してきており、今後の貿易収支の赤字が膨らむ可能性は否定できない状況にある。

円安を背景に金価格は過去最高を更新  

6月17日、田中貴金属工業は金の店頭販売価格を1グラム当たり9876円に設定した。国内の金小売価格の指標として過去最高価格を更新したことになる。金は世界中で取引されるため、国際的な価格指標はドル建てとなるが、直近、急ピッチで円安ドル高が進んだことから円建て金価格は上昇した。加えて、ニューヨーク金先物が値を上げたことも金の国内価格を押し上げた。

男性の約3割が「家事・育児を増やしたい」  

2023年版男女共同参画白書によると、20~39歳の子どもを持つ男性の27.7%が「家事・育児の時間を増やしたい」と答え、「減らしたい」という男性は14.1%で、若年層男性での意識変化が見られた。一方、子どもを持つ同世代の女性は33.5%が「家事・育児を減らしたい」で、「増やしたい」は14.4%にとどまり、男女の意識の差が見られた。白書では「女性が子育てかキャリアを選択しなければならない状況は、少子化対策、経済成長の観点からも損失が大きい」と指摘している。

定期購入に関する相談、過去最多に  

2023年版消費者白書によると、2022年に定期購入に関する消費生活相談件数は過去最多の7万5478件に上ることが明らかになった。とくに、高齢者からの相談は2020年と比べ約2.8倍に急増しており、消費者庁は「1人暮らしの高齢者が増え、孤独・孤立によりトラブルに巻き込まれやすくなる恐れがある」として、「高齢者コミュニティに対応した情報提供が必要だ」としている。また、交流サイト(SNS)をきっかけとする相談件数も2022年は過去最多の6万552件だった。

食料や水などの食糧備蓄は4割止まり  

2023年版防災白書によると、2022年に大地震などに備えて食料や水の備蓄をしている人の割合は40.8%にとどまっていることが明らかになった。前回調査の5年前と比較して4.9ポイント減少しており、危機感が薄れてきていることを浮き彫りにしている。また、白書では、大震災に備えて取り組んでいることを尋ねたところ(複数回答)、「家具の固定」(35.9%)、「避難場所の確認」(34.5%)が挙げられたが、前回調査より減少しており、「特に何もしていない」(13.9%)も挙げられた。

日本滞在経験ある外国人、「すし」が1番  

農林中央金庫が過去10年間で日本に滞在したことのある米・英・仏・中国・韓国の男女に日本食に関するアンケート調査を行ったところ、「すし」が1番の人気だったことが分かった。「すし」は、「滞在時に食べた日本の料理」(68.3%)、「初めて食べた日本の料理」(26.5%)、「最もおいしかった日本の料理」(19.4%)のいずれでも最も多かった。また、「次回、日本に来たら食べたい料理」でも5カ国全てで「すし」(58.7%)が最も多かった。