社会・経済の動き@しんぶん.yomu第1124号

公示価格、バブル以降で最大の伸び  

国土交通省が発表した2025年1月1日時点での公示価格の全用途の全国平均は前年比2.7%増加していることが分かった。4年連続での上昇となり、増加幅はバブル期だった1991年の11.3%以降で最大となった。住宅地の全国平均は2.1%増、商業地は3.9%増となっている。新型コロナウイルスに見舞われる前の2020年の全用途地価と比較すると、三大都市圏では約8割の地点で上回り、地方圏では約5割の地点で上回るにとどまっている。コロナ以前から長期下落傾向にあったが、同省では「コロナの影響は全国的にほぼ解消された」とみている

男女の賃金格差、過去最少に  

厚生労働省の2024年賃金構造基本統計調査で、フルタイムで働く男性の賃金を100とした場合、女性は75.8となることが明らかになった。格差は前年比1.0ポイント縮小し、比較可能な1976年以降で最も小さくなった。また、月額賃金は男性が3.5%増の36万3100円、女性が4.8%増の27万5300円となり、1991年以来の高い伸びとなっている。

富士山大噴火、検討会が指針案報告書  

富士山の大規模噴火で首都圏に火山灰が降る場合の対策に関して内閣府の有識検討会は住民行動の基本方針に関する報告書を公表した。指針では「できる限り降灰区域内にとどまり、自宅などで生活を継続する」ことを住民行動の基本方針とするようにとの見解を示し、政府は近く自治体に通知する。報告書では、降り積もる灰の厚さに応じ4段階に分類し、最も深刻なステージ4にあたる30センチ以上の降灰では、降雨時に木造家屋の倒壊や土石流が発生する危険性から、原則「住民避難」を求めている。

NISA投資額、累計で56兆円を突破  

日本証券業協会はNISA(少額投資非課税制度)口座での株式や投資信託などの買い付け額が2024年度末時点で累計56.5兆円に達したと発表した。政府は2022年に倍増プランで5年をかけて56兆円に増やす目標を掲げていたが、3年前倒しで達成したことになる。また、口座数についても政府は2022年時点の1700万件を5年で3400万件にするとしていたが、金融庁の集計では昨年末時点で2560万件にとどまっていた。口座数は買い付け額ほどに伸びてはいない状況にある。

コスト上昇分の価格転嫁は4割どまり  

帝国データバンクが行なった価格転嫁に関する実態調査によると、人件費や原材料費などのコスト上昇分のうち、企業が販売価格に上乗せできた割合を示す価格転嫁率は40.6%だったことが分かった。前回調査の2024年7月時点と比べ、4.3ポイント低下していた。背景には、取引先や消費者の反発を恐れて値上げをためらい、コスト上昇分の多くを自ら負担している実態がみられた。直近の経営課題は価格転嫁をどう進めるべきかにある。

家計金融資産、過去最大の2230兆円  

日銀の2024年10~12月期の資金循環統計によると、家計が保有する金融資産の残高は昨年12月末時点で2230兆円になることが明らかになった。前年同期比4.0%の増加で、過去最大を更新した。背景には、新しいNISA(少額投資非課税制度)や株高が寄与し、投資信託が27.4%増の136兆円に伸びたことが寄与している。投資信託以外の金融資産の内訳では、株式が9.5%増の298兆円に拡大するとともに、現金・預金が0.6%増の1134兆円と過去最大となっている。

書店減少に64%が「不安」  

日本世論調査会が全国の18歳以上の男女を対象にした調査で、書店が減ることに「不安を感じる」と答えた人は64%に上ることが分かった。一方、「不安を感じない」は35%にとどまり、多くの人は書店が必要だと感じていた。不安を感じる理由では(2つまで回答)、「本を手に取って選べなくなるから」が最多の70%で、「子どもたちが本に触れる機会が減るから」が43%で続いた。書店を支援するために、国や自治体が税金を使うことに「賛成」とする声も64%あったが、「書店が減ることに不安を感じない」人のうち56%は「税金投入」に反対だった。

若者の5割超が「子どもは育てたくない」  

日本大学の末富教授らの研究グループが全国の15~39歳の男女を対象にした調査で、「子どもはおらず、子どもは育てたくない」と答えた人が52.0%に上ったことが分かった。また、少子化対策で「とても必要」「必要」と答えた施策は(複数回答)、「ワークライフバランスの改善(78.2%)、「柔軟な働き方の拡大」(77.8%)が挙げられた。末富教授は「働き方の問題など若者が心配しているリスクに総合的にアプローチしていく必要がある」と指摘している。

社会・経済の動き@しんぶん.yomu第1123号

春闘、平均賃上げ率は5.46%  

連合が今春の春闘における第一回集計によると、定期昇給と基本給を引き上げるベースアップなどを含んだ平均の賃上げ率は5.46%となったことが明らかになった。賃上げ率は昨年同期より0.18ポイント増となり、2年連続で5%台となっている。ただ、3年連続で賃金が物価上昇を上回らない実質賃金がマイナスとなっているだけに、今年がプラスに転じるかが焦点となっている。今年も値上げラッシュが見込まれており、実質賃金は下落が続くものとみるエコノミストは少なくない。

2024年GDP、下方修正の年2.2%増  

内閣府は2024年10~12月期国内総生産(GDP)改定値で、物価変動の影響を除く実質で年率換算は2.2%増だったと発表した。2月に公表した速報値では年率2.8%増だったが、引き下げた背景には、個人消費が横ばいとした修正したことが響いている。今後、物価高の長期化による消費不振に加え、トランプ米政権の関税政策で日本の企業業績を押し下げて賃上げが停滞する恐れがあり、エコノミストは「成長幅は小幅にとどまる」と先行きに懸念を示している。

NY.金先物、初の3千ドルを突破  

3月14日のニューヨーク商品取引所の金先物相場で4月渡しが前日比9.80ドル高の1オンス=3001.10ドルで取引を終えた。初めて3000ドルを超えた。背景には、トランプ米政権による貿易関税による強化によって、貿易戦争が激化し、世界経済が減速するとの見方から安全資産とする金に資金を移動する動きがみられた。今後、世界各国での金相場が上昇する局面が予想されている。

政府備蓄米の放出、初回落札2万円強  

農林水産省が公表した政府備蓄米放出の初回入札結果によると、平均落札価格は60キロ当たり2万1217円だった。同省では21万トンの備蓄米を放出する計画で、今回放出対象となった15万トンに対する入札が行われた。同省によると、2024年産米の相対取引価格(全銘柄平均)は昨年9~今年1月の取引分で玄米60キロ当たり2万4055円となっており、これに集荷や流通コストが上乗せされて販売されている。今回の落札分は3月内にスーパーなどの店頭に並ぶが、高騰する米価がどこまで低下するかが焦点となる。

2024年生活保護申請、過去最多に  

厚生労働省の統計によると、2024年1~12月の生活保護申請件数は前年比0.3%増の25万5897件となったことが分かった。5年連続での増加で、比較可能な2013年以降で最多だった。背景には新型コロナウイルス禍で打撃を受けた上に、賃上げの効果が行き届かず、物価高が長く続いたことが影響したとみられることが挙げられている。とくに、高齢者世帯を中心とした申請件数が増えている。

今春卒大学生の就職内定率、過去最高  

厚生労働省の就職内定状況調査によると、2月時点での今春卒業予定大学生の就職内定率は92.6%だった。昨年同時期比1.0ポイント増となり、2月時点としては1999年度以降で過去最高となった。同省では「人手不足などから企業の採用意欲が強まり、求人数が増加している」と分析しており、就職内定率の高止まり背景を指摘している。短大を含めた全体でも昨年より0.7ポイント増加の92.1%となっている。

昨年の運転免許返納は42万件  

警視庁の発表によると、2024年に運転免許証が自主返納された件数は42万7914件だったことが分かった。75歳以上の返納は全体の6割強を占め、75歳未満は4割弱が返納していた。返納後の75歳以上の免許保有者は789万人となっている。2019年には東京で高齢ドライバーが母子をはねて死亡させる事故があったことを受けて、過去最多となる運転免許証の返納があったものの、過疎地で暮らす高齢者にとっては自動車への依存が高いことも運転免許証返納の実態から見えてくる。

家庭の年間防災費、前年から6割増  

住友生命保険の「家庭の防災対策2025年版」によると、年間の防災対策費は前年の1万292円から約6割増加の1万6356円になったことが分かった。2024年に起きた災害で防災意識が高まったとの回答は7割強に達した。最も防災への備えが必要と考えるのは、地震が最多の72.4%で、台風(8.1%)、大雨・洪水(5.8%)で続いた。家庭での備えでは(複数回答)、「非常用飲料水の備蓄」(41.8%)、「非常用食品の備蓄」(36.1%)で、それぞれ3日分が約4割を占めた。

社会・経済の動き@しんぶん.yomu第1122号

2024年度国民負担率、微減の45.8%  

財務省は2024年度の国民負担率は前年度から微減の45.8%だったと発表した。国民負担率は個人や企業など国民全体の所得に対する税金や社会保険料の負担割合を表すもので、2024年度は企業業績が堅調だったことや雇用者報酬が伸びたことに加え、定額減税が行われたことで、前年度より微減となった。定額減税がなくなる2025年度は46.2%に上がる見通しとなる。国民負担率は20年前が34%程度だったが、2013年以降は40%程度で推移している。

1月の実質賃金、3ヵ月ぶりのマイナス  

厚生労働省は毎月勤労統計調査で物価の影響を考慮した「実質賃金」は前年同月比1.8%減となり、3ヵ月ぶりのマイナスとなったと発表した。一方、1月に労働者が受け取った基本給や残業代などを合わせた「現金給与」総額は平均29万5505円で、前年同月比2.8%増となり、37ヵ月連続でプラスとなった。実質賃金が減少していることについて、同省では「1月は特別賞与がない中で、物価高の影響で減少している」とみている。

6割が2051年廃炉の計画達成できず  

日本世論調査会が原発に関する世論調査結果で、東京電力福島第一原発の溶解核燃料(デブリ)を全量取り出して、2051年まで廃炉を終える政府と東電の計画に対し、6割が「できるとは思わない」と答えていた。廃炉計画に疑問を呈する人が多く、デブリは推計で880トンあり、昨年初めて試験的に行い、回収は約0.7グラムにとどまっている。できない理由として、「安全に処分する方法や処分場所が見つかるとは思えない」が最多の40%で、「廃炉は順調に進んでいない」(26%)が挙げられた。

春闘での賃上げ要求、平均6.09%  

連合が発表した2025年春闘での傘下労働組合によると賃上げ要求の加重平均は6.09%だったことが分かった。1993年の7.15%以来32年ぶりに6%を超えた。背景には、物価高や人手不足から高水準の賃上げを求めている実態がある。規模別にみると、組合員300人未満の労組が要求した賃上げ率は平均6.57%で、連合が求めた中小組合の目標とした6%を超えており、中小企業での賃上げ対応に焦点が集まる。

従業員の退職での倒産、過去最多  

帝国データバンクの調べで、従業員や経営幹部などの退職が直接・間接的に起因した「従業員退職型」の人手不足倒産は87件に及び、2013年以降で最多を更新した。「従業員退職型」倒産ではサービス業が最多の31件で、ソフトウェア開発のIT産業や人材派遣会社、老人福祉施設などが続き、人手不足感を抱く業界が中心だった。次いで建設業の業務遂行に必要な資格を持つ従業員の退職で倒産に追い込まれていた。満足な賃上げされないなど「待遇改善を行わない」業界での倒産増加が危惧されている。

日本の女性の働きやすさ、世界27位  

英誌エコノミストが女性の働きやすさは先進国29カ国を対象に指数化したところ、日本は27位だった。首位はスウェーデンで、アイスランド、フィンランド、の~ウェーが続き、上位4カ国を北欧4カ国が占めており、いずれの国も男女平等と共働きを支援する政策が評価されている。下から3番目の日本は、女性の平均賃金が男性より11.4%低く、賃金格差が拡大していると指摘している。主要国ではイギリスとカナダが14位、イタリアが16位、アメリカが19位となっている。

警視庁、新大卒初任給を30万円超に  

警視庁が2026年春に入庁する大卒警察官の初任給を30万円超に引き上げることが明らかになった。現在の大卒警察官初任給は26万9500円になっているが、30万2100円へと引き上げられることになる。警察官採用試験の受験者は2010年度に3万人余に上っていたが、2024年度は8341人と3分の1以下に減っていることや、民間企業の多くが適性検査のSPI(総合適性検査)を採用することで民間企業と併願する学生の負担を軽減し、受験しやすい狙いがある。

漫画市場、初めて7000億円を突破  

出版科学研究所の発表によると、「紙の本」「電子書籍」を合わせた漫画の2024年の推定販売額は7043億円だったことが明らかになった。前年比1.5%増で、初めて7千億円を超えた。漫画市場では単行本雑誌の「紙の本」の減少が続く中で、「電子書籍」のシェアは7割を超えた。とくに「電子書籍」は前年比6.0%増となり、2019年のほぼ2倍となっている。ただ、同研究所では「電子書籍は広く浸透しているものの、新規ユーザー数が落ち着いてきた」とみている。

社会・経済の動き@しんぶん.yomu第1121号

2024年出生数、過去最少の約72万人  

厚生労働省は昨年1年間に生まれた子どもの数は72万988人だったと発表した。前年から約3万8千人少なく、9年連続の減少となった。また、2024年の出生数は統計を開始した1899年以来、過去最少を更新した。一方、昨年1年間に死亡した人は161万8684人で、過去最多となり、出生数の減少と死亡者数の増加は一段の人口減少社会へと突き進む構図となっている。なお、婚姻の件数は前年約1万組以上増の約50万組で、2年ぶりの増加となった。

中小の賃上げ6%は1割未満止まり  

東京商工リサーチの調査によると、2025年春闘で連合が目標に掲げる6%以上の賃上げを見込む中小企業は9.1%と低調なことが分かった。賃上げを予定する中小企業は3%台が29.0%で最多で、5%台が16.2%で続き、高水準となる10%以上は2.7%と僅かだった。中小企業全体平均での賃上げ率は3.94%で、連合が大手企業との賃金格差を是正する上から、中小の賃上げを6%以上の半分以下にとどまることが分かった。同社では「中小での賃上げ率は高い水準にあるものの、大手には届いていない」と分析している。

二酸化炭素の増加量、過去最大に              

環境省の発表によると、人工衛星「いぶき」で観測した地球の大気中の二酸化炭素(CO2)濃度を分析した結果、2024年は前年から増加量が最大の3.5ppmだった。化石燃料を使う人間の活動や世界各地での森林火災などが影響しているものとみられる。人工衛星「いぶき」は高度660キロの軌道を周回し、地表から大気の上端までの温室ガスを観測でき、地球全体の大気中のCO2濃度は2024年の平均が421.3ppmで、観測以降で最も高く、前年からの増加量は過去最大だった。

2025年飲食料品値上げ、累計1万品目  

帝国データバンクの調べによると、主要な食品メーカー195社における3月の飲食料品の値上げは2343品目に上ることが分かった。2025年通年の値上げは8月までの公表分で累計1万797品目に上り、年間で1万品目を超えるのは調査開始の2022年以降で4年連続となる。値上げの背景には、原材料などの値上げが多くを占め、加えて人件費や物流費などのサービス価格上昇、光熱費などのエネルギー上昇などが挙げられている。

米価高騰、10ヵ月連続での上昇  

総務省は2月の小売物価統計で、コシヒカリ(5キロ)の価格が前月から4%上昇の4363円だったと発表した。昨年5月以来10カ月連続の上昇で、前年同月比では1922円高く、1.8倍にも跳ね上がっている。また、同省から発表された消費者物価指数(2020年=100)の米類は181.6となり、1970年以降で5ヵ月連続の最高値を更新してきている。農林水産省が備蓄米の放出を決定しているものの、米価下落には至っていない。

「家じまい」査定依頼、2022年比2倍超  

不動産・住宅情報サービスを展開するライフルが行なった「家じまい」調査によると、2024年に相続を理由とした全国の住宅売却査定の依頼件数は2022年比2.23倍になることが分かった。築年数が「築31年以上」が8割を占め、建物の種類別では「一戸建て」が最多の66.5%で、「土地」が25.1%、「マンション」が6.7%だった。地域別に伸び率(2022年比)をみると、東北が2.74倍で最も多く、九州・沖縄の2.57倍、北海道が2.37倍で続いた。

山火事、7割が「冬から春」に発生  

総務省消防庁によると、2022年までの5年間に山火事は年間約1300件発生し、焼損面積は約700ヘクタール、損害額は約2億4千万円に上っている。とくに発生時期は冬から春(1~5月)の発生が約7割を占めていた。出火の原因をみると、人が関係するものが多く、刈り取った草木を自宅の庭や畑で焼却する「たき火」が約3割、河原や畑の野焼きなどが約2割を占め、それらの火の粉が強い風で飛んだ火の粉が雑木林や山林に引火することが多いとしている。

大学生、物価高を背景に悩みは「お金」  

全国大学生協連が行なった学生生活実態調査結果によると、日常節活の悩みで「生活費やお金のこと」が最多の46.8%だったことが分かった。奨学金を「受給している」は前年に続き、3割を下回り、2019年以降最低で、返済への将来不安から奨学金貸与型が減っている。また、アルバイトの就労率は過去最高になり、月7万円以上を稼ぐ層が増加傾向にある。生協連では「健康面や学業とのバランスが懸念される」としている。物価高でお金に関して悩む大学生の実態が浮き彫りとなっている。

社会・経済の動き@しんぶん.yomu第1120号

2024年名目GDP、初の600兆円超え  

内閣府が発表した2024年10~12月期の国内総生産(GDP)は物価変動を除く実質で前期比0.7%増となり、3四半期連続でのプラス成長となった。年率換算では2.8%増で、2024年の名目GDPは609兆2887億円となり、通年ペースで初めて600兆円を超えた。600兆円突破は物価高の影響が大きかったことで、経済成長の実感は乏しいものとなっている。日本のGDPは2023年にドイツに抜かれて世界4位に転落し、数年以内にインドを下回ると見られている。

エネルギー基本計画、原発発電量を2割に  

政府が閣議決定したエネルギー基本計画改定案で、原発の立替要件を緩和し、2040年度の発電量を2023年度の8.5%から20%程度まで引き上げるとした。2040年度の電源割合の構成は火力が3~4割、再生可能エネルギーは4~5割程度、原子力は2割程度とするとした。これまで東京電力福島第一原発事故の反省から基本計画に明記してきた「可能な限り原発依存度を低減する」との表現は今回の基本計画では削除された。

今春、企業の7割が初任給引上げ  

帝国データバンクが企業を対象に今年4月に入社する新入社員への初任給に関する調査をしたところ、71.0%の企業が引き上げると回答していることが分かった。引き上げ額は1万~2万円未満が41.3%で、次いで5千~1万円未満が30.7%で、平均は9114円だった。同社では「大企業の賃上げの流れについていくために中小でも引き上げる動きが強まっている」とみている。人件費の上昇が物価高と併せ、経営者にとっては大きな経営課題となってきている。

JR北海道、10年間で120駅余が廃止  

JR北海道で2025年3月のダイヤ改正で5つの駅の廃止が予定され、2016年以降の10年間で120駅余が路線図から消えることになる。2000年以降の4半期世紀でみると、廃止された道内の旅客用駅は180駅に上る。廃止の要因で大きいのは、慢性的な赤字などで路線全体や一部区間がまとめて廃止されたことに加え、利用状況から極端に利用者が少ない駅を対象に見直しが進んだことが挙げられている。利用者が少ないことを裏返せば、人口減少による過疎化の進展があり、今後、地方ほど増える可能性が高いと言える。

1月コメ卸価格、過去最高の2万5927円  

農林水産省が発表した今年1月のコメ出荷業者と卸売業者が売買する際の価格である「相対取引価格」が全銘柄平均は玄米60キロ当たり2万5927円だったことが明らかになった。1990年以降の単月としては過去最高値となった。前年同月比69%の上昇となり、金額では1万569円の値上がりとなった。同省では「コメの不足感から集荷競争が続いている」とみている。政府は最大21万トンの備蓄米放出を公表しているが、価格高騰を抑えられるかが注目されている。

2026年卒生の就職内定、6ポイント上昇  

就職情報会社キャリタスの調査で、今年2月時点での2026年大学・大学院生が企業の選考を受けた人は73.3%に上り、そのうち内定を得たのは前年より6.1ポイント増の39.9%に上ることが分かった。人材確保を急ぐ企業側が採用活動を前倒しする傾向が強めている姿勢が伺えた。こうした状況に都内の私立大の担当者は「就職活動の早期化は若者を疲弊させ、成長の可能性を奪っている」と指摘し、企業の採用活動の前倒しをけん制している。

ノンアル飲料販売、過去最高の886億円  

調査会社インテージの推計で、2024年のノンアルコール飲料の店頭販売金額は前年比6.5%増の886億円で、2017年以降で過去最高となったことが分かった。背景には、健康志向の高まりに加えて、メーカーによる味の改善努力があり、積極的にノンアルを選択する消費者が急増していることが挙げられている。メーカー各社ともノンアル飲料に力を入れており、アサヒビールは2030年代前半に売上1千億円を目指すとともに、他のメーカー各社もカクテル風味やビール風味のノンアル開発へ力を注いでいる。

1日の運動時間5分増すごとに血圧低下  

英国などの国際共同研究グループの発表によると、1日の運動時間を5分増やすと血圧が低下することが分かった。グループは平均年齢54.2歳の太ももに加速度計を装着し活動量を測定したもので、1日の睡眠時間、立っている時間、ゆっくり歩く時間、早く歩く時間、ランニングなどの運動時間など、それぞれの行動時間と血圧の関係を調べた。結果、運動時間が5分長くなるごとに収縮期血圧は0.68mmHg、拡張期血圧は0.54mmHg、それぞれ低下することが分かった。

社会・経済の動き@しんぶん.yomu第1119号

政府の借金、過去最大の1317兆円  

財務省が発表した「政府の借金」は2024年末時点で過去最大の1317兆6365億円だった。「政府の借金」は国債と借入金、政府短期証券を合計したもので、過去最大を更新した。借金の内訳をみると、国債が2023年末時点より約27兆円増の1173兆5559億円で、このうち償還や利払いに主に税収を充てる「普通国債」は27兆2261億円増の1071兆47億円だった。減税や教育無償化など歳入・歳出の両面からの圧力も強まってきており、借金依存からの脱却は程遠い状況にある。

長期金利、15年ぶり水準に一時上昇  

2月13日の東京債券市場で長期金利の指標となる新発10年物国債の流通利回りが一時1.370%に上昇した。2010年4月以降、約15年ぶりの高水準となった。背景には、米利下げ観測の後退などが伝わり、4営業日連続での上昇となった。事実、米市場では消費者物価指数の伸び率が前年同月比4ヵ月連続で拡大しており、インフレが再燃する見方が広まり、米連邦準備制度理事会(FRB)での早期利下げが後退し米長期金利が上昇している。

農水省、備蓄米21万トンを放出  

2月14日、農林水産省は備蓄米21万トンを放出すると発表した。同省では、先ず15万トンを3月中旬に放出し、流通の状況を踏まえて追加供給する考えだ。高騰する米価を是正する狙いから備蓄米の放出に踏み切った形だ。放出する備蓄米は初回の15万トンのうち、10万トンは昨秋収穫された2024年産で、5万トンは2023年産米となる。3月初めに同省が売却先の集荷業者を決定する入札を実施し、小売店の店頭には3月末となる見通しだ。

1月の企業倒産、11年ぶりに800件超  

東京商工リサーチの調べによると、1月の全国企業倒産件数(負債額1千万円以上)は840件に上ることが分かった。前年同月比19.82%もの急増となり、1月としては2014年以来11年ぶりに800件を超えた。背景には、人手不足に関連した深刻な影が企業を覆うとともに、物価の高騰も経営を圧迫したことが挙げられている。産業別にみると、多数の人手を要するサービス業や建設業の倒産が5割超を占めている。同社では「今後倒産件数は増加する」とみている。

新NISA、「つみたて投資」平均は47万円  

日本証券業協会が新たな少額投資非課税制度(NISA)の年間利用動向調査で発表によると、1人当たりの平均投資額は、主に投資信託を購入する「つみたて投資枠」が47万3千円で、個別の株式なども運用対象の「成長投資枠」が103万3千円だったことが分かった。購入銘柄の売却について、「つみたて投資枠」が83.2%、「成長投資枠」が75.3%、それぞれ「しなかった」と答えており、多くが売却せずに保有している状況だった。

2024年、世界の防衛費は7%超増加  

英国のシンクタンク「国際戦略研究所」が公表した世界の軍事情勢を分析した報告書「ミリタリー・バランス」で、2024年の世界の防衛費は前年比7.4%増の2兆4600億ドル(約377兆円)だったことが明らかになった。
ロシアのウクライナ侵攻とロシアの脅威に対抗する欧州勢の軍事費増強が背景にある。事実、ロシアの防衛費は国内総生産(GDP)の6.7%あたる1496億ドルに上っており、欧州でもドイツの上昇幅が最も大きい前年比23.2%増の859億ドルに達している。

中国、春節の旅行先首位は「日本」  

中国のオンライン旅行大手「携程集団(トリップドットコム・グループ)」の集計によると、春節(旧正月)の連休(1月28日~2月4日)の海外旅行先ランキングで「日本」が首位だったと発表した。背景に円安や日中関係改善、日本産水産物の輸入再開が挙げられている。中国人訪日客の人気目的地ランキングでは、首位に東京となり、大阪、札幌、京都、名古屋が続いた。また、日本以外の旅行先では、タイ、マーレシア、シンガポールの人気が高かった。

「名探偵コナン」、2024年邦画第1位  

日本映画製作者連盟が発表した2024年映画概況によると、興行収入で邦画が過去最高だったことが分かった。興行収入は邦画興行収入が1558億円となり、興行収入で100億円を超えたのは「名探偵コナン~100万ドルの五稜流星」(158億円)、「劇場版ハイキュー~ゴミ捨て場の決戦」(116億円)の2作だった。一方、洋画は米国で起きた俳優や脚本家のストライキの影響で、前年比約3割減となった。

社会・経済の動き@しんぶん.yomu第1118号

政府、日銀主張の「インフル状態」を追認  

2月5日の衆院予算委員会で赤沢経済再生担当相は日銀が主張する日本経済を「インフレの状態」を追認するように「消費者物価が上昇している点でインフレ状態というのはその通りだ」と答弁した。また、石破首相は2月4日の予算委員会で「デフレではないが、デフレから脱却できていない」と答え、「デフレ脱却宣言はできない」と慎重姿勢を示している。政府は経済指標を踏まえ、物価高を上回る賃上げが拡がっていくかを見極める姿勢を崩していない。

エンゲル係数、43年ぶりの高水準  

総務省は2024年の2人以上世帯の家計調査によると、1世帯当たりの平均消費支出は30万243円となり、物価変動の影響を除く実質で前年比1.1%減となったと発表した。マイナスは2年続きで、2024年の家計消費支出に占める食費の割合を示すエンゲル係数は28.3%となり、43年ぶりの高水準となった。背景に、食品価格の高騰から食料費を切り詰める動きが加速したことが挙げられている。

2024年実質賃金、3年連続でマイナス  

厚生労働省が発表した2024年の物価変動を反映した実質賃金はマイナス0.2%となり、3年連続でマイナスとなった。同省によると、基本給や残業代などを合わせた1人当たりの現金給与総額は1か月平均で34万8182円だった。前年比2.9%上回りとなり、4年連続での上昇となった。このうち、ボーナスなどの特別に支払われた給与は1か月平均6万6192円で、前年を6.9%増となり、過去最高の伸び率となった。しかし、物価上昇率がこれを上回り、実質賃金はマイナスとなった。

経営者の病気・死亡倒産、初の300件  

帝国データバンクの調べによると、「経営者の病気・死亡」による倒産は316件に上り、初めて300件を超えたことが分かった。ここ2年は増加傾向が続き、以前は1%台にとどまっていたが、直近2年間では2~3%台に上昇してきている。その理由として挙げられているのが「社長の高齢化」で、ここ33年連続で上昇し、2023年の社長の平均年齢は60.5歳と60歳代入りしている。同社では「事業承継の先延ばしによる経営者の病気・死亡による倒産リスクは高まり、倒産件数も増加傾向で推移する」と見ている。

国際収支の経常収支黒字、過去最大  

財務省は2024年度の国際収支速報で、経常収支が29兆2615億円の黒字と発表した。黒字幅は前年比約3割増加となり、過去最大となった。黒字の主因となったが海外の子会社からの配当金といった直接投資収益が大幅に伸び、第一次所得収支が過去最大の黒字となったことが要因だとしている。一方、貿易収支は3兆8990億円の赤字となったが、赤字幅は前年より4割ほど縮小した。また、インバウンドでの旅行収支が過去最大の黒字となり、サービス収支も1割ほど赤字幅を改善したとしている。

農産物輸出、初めて1.5兆円を突破  

農林水産省が発表した2024年農林水産物・食品の輸出額は1兆5073億円となった。前年比3.7%増で、初めて1.5兆円を超え、12年連続で過去最高を更新した。福島第1原発処理水の海洋投棄から中国向けの日本産水産物の輸入停止措置が続いたものの、他国での日本食ブームから輸出が伸びている。品目別ではコメが27.8%増の120億円、緑茶が24.6%増の363億円となったほか18品目が過去最高を記録した。ただ、政府が掲げる2025年に2兆円とする目標には届いていない。

窃盗等の刑法犯、3年連続増の73万件  

警察庁の統計で、2024年に全国の警察が認知した刑法犯は73万7679件となり、3年連続で増加していることが明らかになった。最多だったのは窃盗犯が全体の7割近くを占め、このうち自転車盗が17万件以上で最も多かった。また、銅線ケーブルなどの金属盗は前年比27.2%増の2万701件で、統計開始から4年連続での増加となっている。交流サイト(SNS)でつながりを持つ匿名・流動型犯罪グループ(匿流)による強盗は1370件で前年から9件増えている。

定年後に働く理由、最多は「生活費」  

ヒューマンホールディングスが定年退職後に就労している65~74歳の男女を対象に、定年後に働く理由を尋ねたところ(複数回答)、「生活費を得るため」が最多の54.6%だった。次いで、「社会とのつながりを保つため」(43.0%)、「身体的健康を維持するため」(42.1%)が続いた。職場に取り入れて欲しいと思う制度は、「特になし」が最多の44.0%だったが、「週休3日」(25.5%)、「短時間勤務」(22.5%)が挙げられ、半数近くが働く日数や時間を減らしてほしいとの意向がみられた。

社会・経済の動き@しんぶん.yomu第1117号

労働力人口、過去最多の7千万人  

総務省の労働力調査によると、15歳以上の働く意欲がある労働力人口は2024年に6957万人に上ることが分かった。前年比32万人増加し、比較可能な1953年以降で過去最多だった。働く高齢者や女性に加え、外国人労働者の増加が背景にあり、民間予測では2030年には7千万人を超えるとの予測も出ている。とくに、65歳以上の高齢者は946万人にも上り、2000年から1.9倍も増加し、人口当たりの労働力人口比率は26.1%で、4人に1人以上が働く意欲がある計算となる。

転入超過は7都府県に拡大  

総務省は2024年人口移動調査で、47都道府県のうち7都府県は転入者が転出者を上回る「転入超過」となったと発表した。とくに東京都は転入超過が前年から1万1千人増の7万9285人で最多となり、新型コロナ禍から一転して東京一極集中が再び進行した。併せて、東京をはじめとする東京圏(埼玉・千葉・神奈川)も転入超過となり、山梨、大阪、福岡も転入超過となった。とくに、大阪圏(京都・大阪・兵庫・奈良)は現在の集計方法となった2014年以降で初めて転入超過となった。

2024年有効求人倍率、3年ぶり減  

厚生労働省は2024年平均の有効求人倍率は1.25倍となり、3年ぶりに減少した。有効求人倍率は仕事を求めている1に対し何人の求人があるかを示すもの。有効求人倍率が減少に転じたことに関し、同省では「企業の人手不足感は強いものの、原材料価格の上昇などのコスト増で求人を控える動きがあった」とみている。有効求人倍率はコロナ禍前の2019年の1.60倍を依然回復できていない現状にある。

小中高生の自殺者、過去最多の527人  

厚生労働省のまとめによると、去年1年間に全国で自殺した人は2万268人で、統計を開始した1978年以降で2番目に少なくなったことが分かった。しかし、小中高生の自殺は過去最多の527人だった。内訳をみると、小学生が15人、中学生が163人、高校生が349人となっている。同省の担当者はこどもの自殺対策として「SNSを活用した相談体制の拡充、子どもが自殺未遂を起こした際に学校の先生などに助言を行う危機対応チームを設置する」としている。

2024年コンビニ売上高、過去最高に  

日本フランチャイズチェーン協会は主要コンビニ7社の2024年の全店売上高は11兆7953億円だったと発表した。前年比1.2%増となり、3年連続で過去最高を記録した。背景には、訪日客の増加に合わせた需要の取り込みに成功したのに加え、気温上昇による好天に対応した行楽需要に応えたパンやおにぎり販売が好調だった。一方で、物価高で生活防衛意識の高まりから、1人が1回の買い物で使った平均客単価は0.05%減の720.2円だった。

外国人労働者、230万人で過去最多  

厚生労働省の調査によると、外国人労働者は前年比25万3912人増加の230万2587人となったことが分かった。過去最多を記録。国別ではベトナムの約57万人が最も多く、全体の約25%を占めた。急増している中で、「特定技能」や「技能実習」の在留資格で働く外国人が増加し、医療・福祉分野での労働者が急増している。同省では「外国人労働者がどの国を選ぶかは賃金や制度だけで決まるわけではない」としたうえで、「日本の安全性や文化への憧れから日本が選ばれている」としている。

2025年の食品値上げ、8867品目に  

帝国データバンクの調査によると、2025年の飲食料品の値上げは8867品目に及び、年間の平均値上げ率は16%に上ることが分かった。2025年は春先にかけ前年を上回る大規模な値上げラッシュが発生する見通しにある。値上げ要因では、前年の流れを引き継ぎ、原材料の高騰や人件費や物流費などのサービス価格上昇が見込まれている。また、併せて発表された今年2月の飲食料品値上げは1656品目に上っている。

サラ川柳100句、コメ不足や物価高を反映  

第一生命保険が発表した恒例の「サラっと一句!私の川柳コンクール」の優秀作品100句で、コメ不足や物価高を反映した句が多数選ばれた。「面くらう コメの高値に 麺喰らう」「ワンコイン グルメランチが 懐かしい」など物価高に苦しむ世相を詠んだ句が多い。また、新紙幣発行では、現金に触れる機会が減ったことを表す「キャッシュレス 影薄くなる 偉人たち」や、AI技術の進歩に苦心する姿を詠んだ「AIの 使い方聞く AIに」などが100句に選出された。

社会・経済の動き@しんぶん.yomu第1116号

日銀、政策金利を0.5%に利上げ決定  

日銀は1月24日の金融政策決定会合で政策金利を0.25%から0.5%に追加引き上げを決定した。この引上げによって、2008年10月以来約17年ぶりの水準となる。引上げの背景には、2025年春闘での賃金引上げが予想されることに加え、トランプ米大統領就任による市場での波乱もないことから、引き上げに舵を切ったとみられる。日銀では「経済・物価の見通しが実現していけば、引き続き政策金利を引き上げ、金融緩和の度合いを調整していく」としており、さらなる引き上げを示唆している。

2024年出生数、初の70万人割れ  

厚生労働省は人口動態統計で2024年1~11月に生まれた赤ちゃんの数は66万1577人となったと発表した。前年同期比5.1%減で、日本人の出生数が初めて70万人を割り込む可能性がある。少子化に歯止めがかかっていない状況にあり、背景には物価高による子育てへの経済的不安が高まったことに加え、未婚傾向も拍車を掛けている。国立社会保障・人口問題研究所の将来推計では2024年の出生数は75万5千人で、70万人を割り込むのは2038年と見込んでいた。

消費者物価指数、3年連続での上昇  

総務省は2024年平均の全国消費者物価指数(2020年=100)は生鮮食品を除く総合指数が107.9となり、前年比2.5%上昇したと発表した。3年連続での上昇となり、同時に発表された2024年12月の指数は109.9となり、上昇は40ヵ月連続となった。2024年平均で米類のうち、うるち米(コシヒカリを除く)が前年比28.8%と年間で過去最大の上昇となり、12月の消費者物価でも米類の上昇率は前年同月比64.5%となり、3ヵ月連続で過去最大の伸びを更新している。

外国人の入国者数、最多の3678万人  

出入国在留管理庁は2024年の外国人入国者数は過去最多の約3678万人となったと発表した。統計を開始した1950年以降で最多を更新した。同庁では国際定期便の増加やインバウンド(訪日客)に有利な円安が続いていることが背景にあるとみている。新規入国者を在留資格別にみると、観光客らの「短期滞在」が最多の約3336万人で、「留学」(約17万人)、「技能実習」(約15万人)が続いた。

鳥インフル、過去最多を上回るペース  

農林水産省は養鶏場などでの抗原性鳥インフルエンザの感染拡大が年明けから加速していると発表した。1月だけでも約418万羽が殺処分の対象となり、これまで過去最多だった2022~23年を上回るペースとなっている。昨年10月に過去最も早く感染が確認され、今月19日までに14道県・39件にまで広がり、全体での殺処分対象数は約693万羽にまで上っている。感染拡大を受け、鶏卵価格に波及し、JA全農たまごの鶏卵価格(Mサイズ基準値)は、1キロ250円と前週より1割以上高くなっている。

東京23区マンション、2年連続1億円台  

不動産経済研究所は2024年の東京23区の新築マンション1戸当たりの平均価格は1億1181億円だったと発表した。前年の平均価格1億1483万円を僅かに下回ったものの、2年連続で1億円台となった。高止まりしている背景には、建築費の高騰などが挙げられている。また、人手不足などから着工減となり、首都圏全体では14.4%減の2万3003戸となり、調査開始の1973年以降で最少となった。

出版物の販売額、3年連続で前年割れ  

出版科学研究所の調査によると、2024年の出版物(紙と電子の合計)の推定販売金額は1兆5716億円だったことが明らかになった。前年比1.5%減で、3年連続で前年を割り込んでいる。内訳をみると、紙の出版物(書籍・雑誌)は5.2%減の1兆56億円だったのに対し、電子出版物は5.8%増の5660億円だった。雑誌の休刊や町の書店の閉店が相次いでおり、紙の出版物市場の1兆円割れが目前に迫ってきている。

救急車到着まで10分、過去2番目の長さ  

総務省消防庁のまとめによると、2023年に救急車が通報を受けてから現場に到着するまでの所要時間は全国平均で約10.0分だった。前年より0.3分短縮したものの、過去2番目の長さであることが明らかになった。同庁の担当者は「出動が増加し、最寄りの救急隊が現場に向かえないケースが増えた」と所要時間が長くなった要因を分析している。一方、出動件数は前年比5.7%増の763万8558件で、過去最多となった。

社会・経済の動き@しんぶん.yomu第1115号

2025年基礎的収支、4.5兆円の赤字  

政府が経済財政諮問会議に示した国と地方の基礎的財政収支(プライマリーバランス)の中長期試算によると、2025年度の収支は4兆5千億円の赤字となることが明らかになった。政府は昨年7月時点で8千億円の黒字となる見通しを示していたが、約5兆8千億円もの大型経済対策の歳出増で一転して赤字に陥ることとなった。諮問会議は「財政状況は着実に改善しており、早期の黒字化に向けて歳出改革の継続」を求めた。

2024年企業倒産、11年ぶりに1万件超  

東京商工リサーチの調べによると、2024年の全国企業倒産(負債総額1千万円以上)は1万6件となったことが分かった。3年連続で前年を上回り、2013年以来11年ぶりに1万件を超えた。2024年は円安基調で物価上昇、人手不足や最低賃金の引上げ等から人件費が上昇し、幅広い分野でコストプッシュが経営の重荷となったことに加え、コロナ禍の資金繰りで過剰債務の解消が進まなかったことが背景にある。事実、金融・保険業や不動産業を除く10産業のうち、8産業が前年を上回っている。

2024年訪日外国人、最多の3700万人  

日本政府観光局の推計によると、2024年に日本を訪れた外国人旅行者は3686万9900人に上ることが分かった。これまで最多だった2019年(約3188万人)を約500万人上回り、過去最多を記録した。また、日本で消費した金額は8兆1395億円に上り、これまで最高だった2023年の5兆3065億円を約2.8兆円上回る8兆1395億円となり、過去最高を更新した。1人当たりの消費額が最も多かったのは、イギリスの約38万3000円だった。

2023年、年休取得日数は最高の11日  

厚生労働省の就労条件総合調査によると、企業で働く人が2023年に取得した年次有給休暇の平均日数は11.0日だったことが分かった。また、付与された年休の取得率の平均は3.2ポイント増の65.3%となり、取得日数と取得率は過去最高となった。企業規模別にみると、1千人以上が67.0%、30~99人は63.7%で、業種別では、鉱業・採石業・砂利採取業が71.5%で最も高く、飲食サービス業が51.0%で最も低くなっている。政府は「2028年まで70%以上の取得率」を目指している。

南海トラフ地震、発生確率を80%程度に  

政府の地震調査委員会は南海トラフ巨大地震の今後30年以内の発生確率をこれまでの「70%~80%」を「80%程度」に引き上げることを発表した。委員会では「想定された地震が発生しない限り、発生確率は時間の経過とともに高くなる」とし、今年1月13日や昨年8月に日向灘で発生した地震との関係はないとしている。平田委員長は「80%程度というのは、いつ地震が発生しても不思議ではないという数字だ」とした上で、地震への備えを呼び掛けた。

投信残高、過去最高の140兆円  

投資信託協会は2024年末の上場投資信託を除く公募株式投信の純資産総額(残高)は140兆9198億円だったと発表した。前年末比32%もの大幅な増加で、過去最高を更新した。背景には、新しい少額投資非課税制度(NISA)が2024年1月にスタートしたことで、積立投資が個人に広まったことに加え、国内外の株高が押し上げたことが挙げられている。事実、2024年の増加分は投信の購入による資金流入が約15兆3千億円、運用益が約22兆6千億円で大幅に膨らんだ。一方、収益の分配で減少した分は約3兆5千億円だった。

2024年産米、過去最高の2万3715円  

農林水産省の発表によると、コメの出荷業者と卸売業者が売買する際の価格を示す「相対取引価格」は2024年産米の全銘柄平均は玄米60キロ当たり2万3715円だった。比較可能な1990年以降で過去最高値となり、これまで最高だった1993年の大凶作時の2万3607円を上回った。2024年産米が出回った後も価格の高止まりが続き、夏の品薄に伴う集荷競争から一段と相対的価格の上昇懸念が危惧されている。

全国での災害備蓄、主食は9279万食  

内閣府が初めて実施した都道府県と市区町村の災害備蓄状況調査の集計によると、コメ・パン・カップ麺などの主食は全国で9279万食分だったことが分かった。災害備蓄状況では、水が約2970万ℓ、暖房機器や冷房機器はそれぞれ約3万台、簡易ベッドは約57万台、間仕切りは約108万枚などとなっている。内閣府の担当者は調査結果について「主食は一定量の備蓄が確認できた。簡易ベッドはもう少し増やす必要がある」としている。備蓄状況は自治体に年1回の公表を義務付けるとしている。